[ベルリン 15日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が15日発表した2018年の国内総生産(GDP)速報値は前年比1.5%増だった。5年ぶりの低い伸びとなり、前年からの減速が浮き彫りとなった。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は1.5%増。2017年は2.2%増加していた。
日数調整済みでは1.5%増で、17年の2.5%増から鈍化した。
ドイツ経済は、世界経済の減速、トランプ米大統領の「米国第一主義」政策をきっかけに起きている貿易を巡る対立、英国が3月に合意のないまま欧州連合(EU)を離脱するリスクに直面している。
統計庁は「ドイツ経済は9年連続で成長したが、成長の勢いは失われている」と指摘。家計消費と政府支出が増加し、内需が主に成長をけん引したと付け加えた。
企業の設備投資が特に活発で前年比4.5%増加。これが伸び率が4.6%から2.4%へと半分近くになった輸出の減速をカバーした。
輸入の伸びが輸出の伸びを上回り、貿易は差し引きで成長率を小幅に押し下げた。
ドイツ復興金融公庫(KfW)のチーフエコノミスト、Joerg Zeuner氏は「1年前の高い期待でみると、ドイツの経済成長は明らかに失望させられる」と述べた。
ドイツ経済研究所(DIW)のフラッツシャー所長は、今年も成長けん引役になるとみられている活発な国内の経済活動や巨額の財政黒字を挙げ、「強い労働市場と健全な賃上げで、民間消費は経済成長の柱となる」と述べた。その一方で貿易摩擦や米景気懸念が最大のリスクとの見方を示した。
統計庁は、2018年第4・四半期に国内経済が小幅成長したとの見方を示した。リセッション(景気後退)入りは回避されたことになる。
統計庁は、経済成長率の「ゲタ」が小幅なプラスになったと指摘。
2018年1─11月のドイツの対中輸出が前年同期比で10%近く増加した半面、対英輸出は3.6%減少したことも明らかにした。
統計庁の関係者は会見で「英国の欧州連合(EU)離脱が全体として、ドイツの経済成長にどの程度の影響を及ぼしたか定量化は不可能だ」と述べた。
*内容を追加しました。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」