[ベルリン 7日 ロイター] - 7日発表された鉱工業生産など8月のドイツの経済指標は、エネルギー価格高騰など物価高が企業や家計を直撃し景気後退に向かっていることを示唆した。
鉱工業生産指数は前月比0.8%低下。低下幅は市場予想(0.5%)を上回り、ロシアがウクライナ侵攻を開始した直後の3月以降で最大となった。新型コロナウイルス規制とウクライナ戦争により供給のボトルネックが続いている。7月はマイナス0.3%から0.0%へ上方修正された。
輸入価格指数は、前月比4.3%上昇、前年比では32.7%上昇した。エネルギーの輸入価格は前年比162.4%上昇、天然ガスは306.3%上昇で欧州エネルギー市場の厳しい状況が鮮明になった。
先月末発表の9月の消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比10.9%上昇と1996年の調査開始以降で最高となった。
家計のやり繰りは厳しくなっている。8月の小売売上高指数は前月比1.3%低下、前年比では4.3%低下。食料への支出も抑えており、食品の小売売上は前月比1.7%減、前年比で3.1%減少し過去5年あまりで最低となった。
プライベートバンク、ハウク・アウフハウザーのエコノミスト、アレクサンデル・クルーガー氏は、消費者の財布の紐は固いと指摘。INGのエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は、エネルギー価格高騰が消費者、産業界両方を圧迫しており、リセッションは避けられないと指摘し「問題は経済がどのくらい縮小するかだ」と述べた。
関係筋によると、ドイツ政府は来年の経済成長率をマイナス0.4%と予想しているという。
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