November 21, 2018 / 6:33 AM / 17 days ago

アングル:救世主から転落したゴーン日産会長、不正発覚の舞台裏

[東京/パリ 20日 ロイター] - 一時経営危機に陥った日産自動車(7201.T)の救世主として敬意を集めていたカルロス・ゴーン会長(64)が19日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕され、日本に衝撃が走った。

ゴーン容疑者は、日産の会長だけでなく、連合を組む仏ルノー(RENA.PA)の最高経営責任者(CEO)兼会長と、三菱自動車(7211.T)の会長も務めている。日産は、22日の臨時取締役会でゴーン会長の解任を提案する予定だ。

●ゴーン氏の容疑は何か

日産の西川廣人社長は19日夜開いた記者会見で、ゴーン容疑者は長年にわたり、有価証券報告書に自身の報酬を過少に記載していたほか、会社の資金を私的に流用していたことが判明したと述べた。

同社によると、逮捕された代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者も不正行為に深く関与していた。西川社長は東京地検特捜部が捜査中のため、詳細は明らかにできないと述べた。

東京地検によると、ゴーン容疑者とケリー容疑者は共謀して、2010年度から5年間、ゴーン容疑者の報酬について、実際には99億9800万円であるにもかかわらず、その半分程度しか申告しなかった疑いが持たれている。

NHKは関係筋の話として、リオデジャネイロ、ベイルート、パリ、アムステルダムにあるゴーン容疑者の自宅を購入・改修するのに日産が巨額の費用を支出したと伝えた。これら不動産には業務上の目的がなく、利益を受けていたにもかかわらず報酬として有価証券報告書に記載されていなかった。

ゴーン容疑者はまだ正式に起訴されていない。朝日新聞によると、同容疑者とケリー容疑者は19日夕、羽田空港に到着した後、特捜部の事情聴取を受けた。西川社長は2人が逮捕されたことを確認した。

 11月20日、一時経営危機に陥った日産自動車の救世主として敬意を集めていたカルロス・ゴーン会長(写真)が、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で19日逮捕され、日本に衝撃が走った。パリで昨年10月撮影(2018年 ロイター/Charles Platiau)

以降、両容疑者は姿を見せておらず、所在も明らかになっていない。一般的には、容疑者は東京拘置所に収容される。

●どうして発覚したか

内部通報があり、監査役を中心に問題提起の動きがあって、社内調査を進めた結果、2人の不正が発覚し、検察に報告したと西川社長は述べた。

内部通報者について、日本のメディアは日産の法務部社員だと伝えている。

朝日新聞が関係筋の話として伝えたところによると、内部通報者は捜査に協力する代わりに刑事処分を軽減する「司法取引」を行ったとしている。

●ゴーン容疑者はどれくらい権力を握っていたか

経営難に苦しむ日産のCEOに2001年就任後、ゴーン容疑者は積極的な経費削減を行う再生計画を実行してV字回復を成し遂げ、救世主と称賛された。鋭いビジネス感覚と日産の企業文化を一新したことで尊敬を集めた。

ゴーン容疑者は2005年、ルノーのCEOに就任。2008年に日産の会長、翌09年にルノーの会長となり、両社の実権を握った。

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日産の西川社長は19日の会見で、ゴーン容疑者の手に権力が集中し過ぎたとの認識を示した。その上で、今回の逮捕を踏まえ、極端に個人に依存した経営から脱却し、サステナブルな経営体制見直しのよい機会になるとの考えを表明した。

●いかに不正を行うことができたのか

この点が大きな問題点だ。西川社長が言うように、もし不正が長年に及んでいたのであれば、内部監査や経営幹部が目をつぶったのでない限り、なぜこのように長期間発覚しなかったのかと専門家は疑問に思っている。

●ゴーン容疑者は今後どうなるか

日本の法律では、容疑者は起訴あるいは釈放されるまで最大20日間勾留される可能性がある。東京地検元検事の中村勉弁護士は、勾留できる最後の期日前に当たる12月7日にゴーン容疑者は起訴されると予想する。

勾留中、ゴーン容疑者は弁護士との接見が許されている。

保釈が認められた場合、保釈金は何億円という途方もない額になると中村弁護士は言う。ただし、このように大きな事件では、罪状認否が済むまでは保釈は認められないことが多いという。

ゴーン容疑者とケリー容疑者は金融商品取引法違反で有罪となれば、10年以下の懲役刑あるいは1000万円以下の罰金を科せられる可能性がある。

●ゴーン容疑者はどのような人物か

ゴーン容疑者はブラジル生まれ。レバノン系でフランスの市民権を持つ。1978年、仏タイヤメーカーのミシュランに入社しキャリアをスタート。その後96年にルノーに入社して同社の再建をまかされ「コストキラー」と呼ばれるようになる。

1999年にルノーが日産と提携後、ゴーン容疑者は同様の手法で日産を再建。日本で「ビジネス界のスーパースター」となり、メディアはこぞって取り上げ、同容疑者の人生を描いた漫画本まで出版された。

世界には自動車メーカーが多過ぎると公言してはばからず、2016年に三菱自をルノーとの連合に加えた。

しかしこの数カ月、3社連合の複雑な株式持ち合いをいかに改善できるのかに注目が集まっていた。関係筋は3月、ロイターに対し、ルノーと日産が、フランス政府が保有するルノー株15%を日産が取得して提携を強化することを協議していると語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

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