[シドニー 13日 ロイター] - 米SVBファイナンシャル・グループの経営破綻を受け、今週の世界金融市場は荒い値動きになるとみられている。2008年の金融危機以降で最大の米銀破綻によるショックに加え、主要な経済指標や中央銀行会合が控えているからだ。
米財務省と連邦準備理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)は12日、シリコンバレー銀として知られるSVBの顧客は13日から預金にアクセスが可能になると発表。また、SVB破綻に伴う「いかなる損失も納税者が負担することはない」と表明した。
これを受けてS&P500先物は1.4%上昇した。
ただ、週内は14日に2月米消費者物価指数(CPI)、15日に英予算案、16日に欧州中央銀行(ECB)の理事会と、注目材料が目白押しだ。
TDセキュリティーズの欧州・英国金利ストラテジスト、プージャ・クムラ氏は「目先は荒い動きになるだろう」と指摘した。
10日時点で米株式市場の予想変動率を表すボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は、昨年10月以来の水準に急上昇。米国債市場の変動予想を映すICE・BofA・MOVE指数も昨年12月半ば以来の高水準を付けた。
SVBの問題は、既に他の資産に波及する兆しを見せており、米ドルに連動するステーブルコイン、USDコイン(USDC)は11日にドルと1対1のペッグ(固定)水準からかい離し、過去最安値を記録。その後はUSDCを発行する米サークルがSVBへのエクスポージャーがあるものの、ペッグを維持すると表明したことを受けて、下落分の大半を取り戻した。
週明け13日の通常取引が始まるまでに投資家は最新動向を消化する時間的猶予をほとんど与えられないかもしれない。
SVBの問題が、他の地銀に連鎖する可能性もある。S&P500地銀株指数は10日に4.3%急落し、週間の下落率は18%と、09年以来最大の下げとなった。
ファー・ミラー&ワシントンのマイケル・ファー最高経営責任者(CEO)は「投資家は不確実性やサプライズを嫌うが、この問題はまさにサプライズで、不確実性を一段と高めた」と指摘。「13日までに新たな動きや買収がなければ、米株式市場の変動率が高まる恐れがある」と述べた。
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