October 10, 2018 / 4:03 AM / 9 days ago

コラム:米国債下落、世界市場の「連れ安」招くか

[ロンドン 9日 ロイター] - 今年は米国債のトータルリターンがマイナスになっている。こうした年は珍しく、過去の例を見ると世界の金融市場への余波は大きい。

 10月9日、今年は米国債のトータルリターンがマイナスになっている。こうした年は珍しく、過去の例を見ると世界の金融市場への余波は大きい。写真は3日、ニューヨーク証券取引所(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

特に悪影響を受けやすいのは株、クレジット、高利回り債、新興国市場だ。米国債利回りが上昇すると流動性がひっ迫し、金融環境が引き締まるためだ。米国債の売りが加速し、1970年代初め以降で5度目のマイナスリターン年となりそうな中、市場ではこうした観測が流布している。

しかし難しいのは、必ずしもそのように事が進むとは限らないことだ。1994年、99年、2009年、13年という前4回を見ると、世界市場の反応はそれぞれ大きく異なっている。

以下の表は、この4つの年と今年の主要市場の動きを示したものだ。

いずれの年も10年物米国債利回りは80ベーシスポイント(bp)以上上昇した。1994年は204bpも跳ね、過去最大の上昇率となった。今年は今のところ84bp上昇している。

世界市場の反応は、米国債価格下落の理由が「良い」か「悪い」かに左右される面が大きい。良い理由とは好況であり、秩序だった相場下落につながる。悪い理由は、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが後手に回り、結局は急激な利上げを余儀なくされることであり、この場合は激しい売りを招く。

今年は両面が少しずつ混ざっている。米景気の成長は目覚ましく、FRBは今のところ段階的に利上げを進めている。しかしFRBが今後ずっと大幅な利上げを強いられ、成長の息の根を止めて景気後退に陥るという不安も、ここ数週間で高まっている。

怖いのは、比較的秩序だった現在の売りが、いずれ売り叩きに近い姿に変わっていく可能性だ。

ゴールドマン・サックスのアナリストチームは、2つの世界大戦中および1970年代、80年代のスタグフレーション期のような「逃げ場のない」債券弱気相場と、90年代以降(94年を除く)の小規模な弱気相場を線引きしている。

「逃げ場のない」弱気相場では、市場が成長・インフレリスクを見直し、幅広い資産クラスで相場が急落する。しかし90年代以降の弱気相場の大半は、インフレおよびインフレ期待が抑制された状況で起こった。つまり弱気相場の期間は短く、名目、実質ベースのいずれでも浅かった。

ゴールドマンは先週のノートに「マルチアセット投資家にとって債券の弱気相場は以前より心配ではなくなった。インフレが抑制され、金融引き締めは段階的なので、(株式の)弱気派はさらに冬眠を続けるかもしれない」と記した。

しかし慢心は危険だ。

債券弱気派は利回りが今後も上昇を続けそうな理由をいくつも指摘する。経済のファンダメンタルズはなお強そうで、FRBは利上げの手を緩める兆しはなく、バランスシートの縮小ペースを上げている。財政赤字の拡大に伴い新発国債の供給は増えている、と。

一方で、米経済の拡大は峠を越し、イールドカーブは2020年の景気後退入りを予告しているとの見方もある。従ってFRBは今示唆しているほど、あるいは市場が予想しているほど利上げしないだろうという。

いずれにせよ、既に米国債価格下落の影響は世界市場に表れている。

新興国株式は先週4.5%下落し、過去約3年で2番目に大きい下落率となった。世界の高利回り債は先週、6月以来で最も大幅に下落した。米S&P総合500種株価指数が今週マイナスで週を終えれば、2016年半ば以来で初めての3週連続下落となる。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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 10月9日、今年は米国債のトータルリターンがマイナスになっている。こうした年は珍しく、過去の例を見ると世界の金融市場への余波は大きい。写真は9月、ニューヨーク証券取引所(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

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