[シンガポール 25日 ロイター] - 発電用石炭(一般炭)の国際価格は昨年過去最高値を記録したが、今年は半値以下の1トン=200ドル前後で安定的に推移するとアナリストや業界関係者は予想している。
指標となる豪ニューカッスル積みの石炭価格の予想は平均175─212ドルで、昨年9月に付けた440ドルを50%以上下回る。ただロシアがウクライナに侵攻する前の10年間の平均(86ドル)を大幅に上回っている。
欧州最大の石炭供給国であるロシアに対する制裁により、石炭価格は昨年急騰した。
調査会社DBXコモディティーズ(ロンドン)のアレクサンドル・クロード最高経営責任者(CEO)は、ウクライナ侵攻による「エネルギーショック」が生じた昨年と比べて、2023年は貿易フローが安定したため石炭価格の変動が小さくなるだろうと述べた。
アーガス・コンサルティングは、今年の世界の石炭輸出が4.4%、輸入は5%それぞれ増加すると予想している。中国の輸入は11%増、オーストラリアの輸出は9.4%増を見込む。
世界石炭協会(WCA)のJuly Ndlovu会長は石炭価格の決定で欧州の役割が低下し、中国とインドの動向が鍵を握るとの見方を示した。
豪ウエストパックは今月、ニューカッスル積みの石炭価格が23年12月までの9カ月間で平均1トン=193ドルになると予想した。米シティが4月に示した9─12カ月間の予想は平均175ドル。
22日の指標価格(FOB=本船渡し)は1トン=159ドル強で、第2・四半期の価格レンジ(159─179ドル)の下限だった。第1・四半期は180─403ドルだった。
DBXのクロード氏は炭鉱会社のコスト上昇などが石炭価格を下支えする公算が大きいとし、ウクライナ侵攻前や新型コロナウイルス流行前の水準には戻らないと予想した。
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