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気候変動対策条件に重債務国救済を、米独英シンクタンクが提言

 6月28日、米独英のシンクタンクは、債務危機を回避し、重債務国が新型コロナウイルス流行からの復興と同時に持続可能な成長と温暖化ガス排出の少ない経済への移行を加速できるよう支援するための構想を提言する見通し。写真は汚染されたラプラタ川の岸に立つ発電所。アルゼンチンのブエノスアイレスで2017年6月撮影(2021年 ロイター/Marcos Brindicci)

[ワシントン 28日 ロイター] - 米独英のシンクタンクは28日、債務危機を回避し、重債務国が新型コロナウイルス流行からの復興と同時に持続可能な成長と温暖化ガス排出の少ない経済への移行を加速できるよう支援するための構想を提言する見通し。

「グリーンで包摂的な復興に向けた債務救済」と名付けられた提言は1980年代後半の中南米債務危機の際の「ブレイディ構想」がモデルとなっている。同構想で商業銀行は中南米の途上国に対する債権を取引可能な金融商品と交換し、バランスシートから切り離した。

提言をまとめたのは米ボストン大学国際発展政策センター、独ハインリヒ・ベル財団、英ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)の持続可能な金融センターの3機関。20カ国・地域(G20)に対し、債務国が発行する新たな債券を保証する新たな仕組み作りを呼び掛けている。民間銀行は既存債権を新たな債券と交換する際、大幅なヘアカット(債務削減)に応じることになる。

新型コロナのパンデミック(世界的大流行)とそれに伴う経済の落ち込みで、低・中所得国の債務がさらに拡大し、コロナ危機や気候変動に対応する余力が乏しくなった。

G20のこれまでの対応は貧困国に焦点を当てたもので、重債務によるリスクが高いとされる72カ国のうち22カ国が対象外だった。また、G20による債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)とDSSI後の債務措置の共通枠組みに、民間部門の債権者はほとんど参加していない。

3機関は報告書で「G20は今すぐ思い切った行動が必要だ。過去の経験則では、債務危機への対応の遅れは一段の状況悪化や債務者と債権者の負担増を招く」と訴えた。

7月9─10日のG20財務相会議に向け、債務措置の共通枠組みを中所得国にも拡大し、民間部門からの参加を取り付けるため、ブレイディ債のような既存債務と交換可能な新規債券への債務保証を支持するよう呼び掛けた。

債務保証の仕組みは世界銀行が監督し、債務救済措置の対象国には地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」と2030年の持続可能な開発目標(SDGs)に整合的な政策を採用するよう求める必要があるとした。

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