August 9, 2019 / 5:43 AM / in 2 months

コラム:質への逃避鮮明に、米FRBはストレス鎮静化へ行動か

[ロンドン 8日 ロイター] - 景気後退(リセッション)と株価下落への不安から、世界の投資家がドル、ユーロ、円といった主要通貨や格付けの高い国債に資金を逃避させている。

 8月8日、景気後退(リセッション)と株価下落への不安から、世界の投資家がドル、ユーロ、円といった主要通貨や格付けの高い国債に資金を逃避させている。写真は7日、ニューヨーク証券取引所で撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

良いニュースは、大半の指標を見る限り金融市場のストレスが厳しいというより穏やかな水準にとどまっていることだ。これは政策当局者にある程度の安心感をもたらす。

悪いニュースは、ストレスは「穏やか」から「厳しい」状態へと急速に発展し得ることだ。政策当局者はそうした事態を防ぎたいだろう。

米国債のイールドカーブ(利回り曲線)は逆イールド状態が続いている。これは債券トレーダーが景気減速の長期化と追加利下げを予想している明確な兆候だ。

米3カ月物政府短期証券と米10年物国債の利回りは2年半にわたって逆転を続けている。現在は10年物利回りの方が34ベーシスポイント(bp)低く、2007年4月以来で最も格差が開いている。

過去50年間を見ると、逆イールドが3カ月以上続くと常に1年以内にリセッションが訪れていた。

現在の逆イールドは既に、1995─98年の景気減速前よりも大幅なものとなっている。ただ、2001年および08年のリセッション前に比べると小幅だ。

過去2回の逆イールドは07年3月に59bpで、00年12月に85bpでそれぞれピークに達した。リセッションは07年12月と01年3月に始まっている。

ただ、米連邦準備理事会(FRB)が今年7月末に25bpの利下げを決めたにもかかわらず、逆イールドは続いている。これはストレスの高まりを示すもので、政策当局者の懸念を誘いそうだ。

フェデラルファンド(FF)金利先物は年内の50bpの追加利下げを織り込み済みで、利下げ幅が75bpに達する可能性も大きく織り込みつつある。

1年で合計75─100bpの利下げとなれば、1995年および98年の景気減速時と同じかやや大幅だが、過去2回のリセッションに比べると小幅だ。

◎質への逃避

高リスク資産から低リスク資産への逃避は既に始まっている。

米10年物物価連動国債(TIPS)の利回りは、昨年11月には100bpを超え、今年7月末は30bp強だったが、現在はわずか10bpに下がった。

これはFRBが景気の押し上げに苦心し、FF金利が世界金融危機後に設定された25─50bpに維持されていた16年10月以来の低水準だ。

キャリートレードの巻き戻しにより、低リスク、低金利の調達通貨であるドル、円、ユーロはいずれも、高リスク、高金利通貨である豪ドルおよびニュージーランド(NZ)ドルに対して上昇している。

しかし質への逃避は今のところ秩序立った動きで、過去の金融危機時のようなパニックの兆しは見せていない。

格付けが「Baa」と中程度の米社債は、米国債に対する利回りスプレッドがやや拡大しているが、年初の水準からは横ばいだ。これは、質への逃避が出口に向けた殺到には至っていないことを示している。

FRBその他の中銀はこの状態を保ちたいと考え、追加利下げを行う可能性が高い。

経験則によると、いったん小幅でもストレスが高まると、たやすく厳しい状態に転じるし、変化は非常に迅速に起こり得る。

今後発表される経済指標が好転したり、米中が貿易摩擦の鎮静化に成功しない限り、FRBは金融ストレスを軽減して景気拡大を持続させるために追加利下げを余儀なくされそうだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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