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焦点:供給網混乱、劇的解消の期待しぼむ 中銀の期待むなしく

[ワシントン 18日 ロイター] - ニューヨーク連邦準備銀行などの新たな分析結果によると、高インフレが世界的供給網の改善を通じて和らぐと期待している世界の中央銀行は、4月を通じて安心できる動きをほとんど目にできなかった。中国での新型コロナウイルス感染防止のための新たなロックダウン(都市封鎖)とウクライナ戦争で配送に要する時間が延び、コストが上昇したためだ。

 ニューヨーク連邦準備銀行などの新たな分析結果によると、高インフレが世界的供給網の改善を通じて和らぐと期待している世界の中央銀行は、4月を通じて安心できる動きをほとんど目にできなかった。中国での新たなロックダウンとウクライナ戦争で配送に要する時間が延び、コストが上昇したためだ。写真はエジプトのスエズで2月撮影(2022年 ロイター/Mohamed Abd El Ghany)

ニューヨーク連銀が18日に発表した4月のグローバル・サプライ・チェーン・プレッシャー・インデックス(GSCPI)は4カ月ぶりに上昇した。同指数の上昇は、もしその流れが今後も続けば、物価高を制御するために中銀が動いているにもかかわらず、インフレがより根強く続くと読み取ることが可能だ。

ニューヨーク連銀のエコノミストチームは4月のGSCPIについて、「中国でのロックダウン措置と地政学的動向によって中国とユーロ圏で一段と配送時間が長くなって輸送コストが上昇し、ここ数カ月に見られた状況の改善が部分的に反転したことを示唆している」と指摘した。

米国の供給問題に関するオックスフォード・エコノミクスの指数は4月に改善したが、中国から到着した輸入品の受け渡しによる影響が大きかった。

モーニング・コンサルトの調査で米国の消費者は、4月に商品を入手できない、もしくは見つけるのが一段と難しくなったと回答。オンラインで注文した商品の配送時間が長くなったとも指摘した。日用品店の顧客の約60%が「特定の商品を見つけ出すのが難しくなった」と答え、40%が自宅改装用品の配送が遅くなったと回答した。

オックスフォード・エコノミクスの米国担当エコノミスト、オレン・クラチキン氏は「供給網の状況は4月にかなりひっ迫したままだった。物流の試練は和らいだが、当社はこれをうのみにしてはいない。中国のロックダウンにより米国の港湾における貿易フローは遅くなり、企業活動を圧迫する中、状況の改善はうわべだけの面もあるためだ」と述べた。

<需給ひっ迫は解消せず>

米連邦準備理事会(FRB)など主要中銀は既に、先進国の金融政策で主流となった、2%の物価目標を遥かに上回って推移するインフレを抑制する取り組みの中で、政策金利を引き上げたり、利上げ計画を策定したりしている。

FRBのパウエル議長は17日、金利の上昇により住宅などの購入意欲が減退し、財とサービスの需要が弱まるのを期待すると表明、こうした動きによって需給が緩むとの見方を示した。

特に米国では新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)局面を通じて需給のひっ迫は解消していない。相次ぐ感染拡大とロックダウン、そして今ではウクライナにおける戦争を通じて世界の供給網が混乱している状況下でさえ、米国では新型コロナウイルス対策の連邦政府の支出や送金によって家計、企業、地方政府は使える資金を手元に残している。

だがパウエル議長が言うように、政策当局者は世界中で商品がより流れやすくなり始めるのに伴い、供給サイドが需要に追い付き、インフレが自律的に低下する機会が訪れることを期待している。

しかし、その程度や時期は一段と不確実になっており、中銀が実施しなければならない利上げのペースと、インフレを抑制するために求められる最終的な政策金利の水準がますます重要になっている。世界の供給網混乱が長引けば長引くほど、中銀は需要、成長、そして潜在的には雇用をも抑制する取り組みの中でより厳しい措置が必要になるかもしれない。

例えば欧州では、ロシアのウクライナ侵攻を発端とするトラック運転手不足といった深刻な問題が足元で懸念されている。

欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は先週、「多くのウクライナとロシアの運転手はもはや働ける状況ではなく、欧州の輸送セクターにおける(人員)不足はより深刻になるかもしれない」と述べた。

長期的には、世界経済がより地方化され、地政学的ゾーンがより細かく分けられる可能性がある。そうした動きによって、コスト上昇を伴いつつ、長い時間をかけて世界的な物価高へと調整が進むのかもしれない。

パウエル議長は「グローバル化がある程度、反転する可能性は現実にある」と主張。地域の産業は、長期的にはこうした環境に順応するとしても、物価が全体として緩やかに上昇する約30年間にわたって形成された世界とは「極めて異なる世界になるだろう」と語った。

こうした状況により、特に中国が厳格な新型コロナウイルス感染防止政策を緩和するかどうか、緩和する場合、中国の生産がどの程度速く回復するか、が焦点となっている。

調査会社チャイナ・ベージュ・ブックは先週の調査報告で、受注残高は悪化する公算が大きく、その影響で中国経済は第2・四半期にマイナス成長に陥る可能性があり、米国のインフレは向こう数週間で頭打ちとなるのではなく一段と上昇する恐れがあると記した。

同社は、中国の港湾では未処理の貨物が歴史的水準近辺で推移していると指摘。仮に中国の供給網における受注残高が今年夏の序盤に米国の物価高騰第2派を引き起こせば、FRBは政策面で身動きが取れなくなると予想した。

イエレン米財務長官は18日、ボンでの記者会見で中国のロックダウンについて「どの程度の広がりか、供給網の難題をどの程度悪化させているかを考慮すると、生産および財とサービスのフローを妨げているようだ」と指摘。「中国経済の動向は真に、全世界の成長に影響を及ぼしている」と述べた。

(Howard Schneider記者、Balazs Koranyi記者)

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