November 22, 2018 / 8:04 AM / 21 days ago

コラム:「ゼロ金利」脱却遠い主要中銀、日本が指針に

[ロンドン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)に続いて他の主要中央銀行が金融政策の「正常化」を開始できる機会は、急速に狭まりつつある。つまり彼らは何年も、下手をすると何十年も「ゼロ金利政策」の世界にとどまらざるを得ないかもしれない。

 11月21日、米連邦準備理事会(FRB)に続いて他の主要中央銀行が金融政策の「正常化」を開始できる機会は、急速に狭まりつつある。写真はワシントンのFRBビル。8月撮影(2018年 ロイター/Chris Wattie)

欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)、日銀は、利上げや資産買い入れ打ち切り、長期金利上昇容認と手段はさまざまになるが、いずれも来年政策を引き締め方向に修正すると予想されている。

世界金融危機により大半の中銀がゼロ金利政策の採用を迫られてから10年余り経過しただけに、少なくともそうした引き締めは予定された動きと言える。しかし世界経済と市場のサイクルが転換するとなれば、実行に移すのは難しいだろう。

転機が訪れる証拠は積み上がってきており、金融市場においては2009年以降の景気と相場の上向きの流れが失速し、来年中に完全に止まってしまいかねないとの見方が広がっている。

政策担当者も浮き足立ち始めた。

ECBに目を向けてみよう。年末には債券買い入れプログラムが終了し、来年夏以降の利上げが示唆されている。来年10月に任期が満了するドラギ総裁は、政策正常化が始まるのを見届けてから去りたいように見える。

ところがECB当局者は足元で、微妙にハト派方向に態度を変えようとしている。理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁は今週、政策正常化には「数年」かかると発言した。留意すべきは、タカ派の独連銀総裁からこうした声が出てきたことだ。

実際投資家は、ECBが来年中も利上げしないとの観測を強めている。ここで言及しているのは大幅な利上げでなく、政策金利を10ベーシスポイント(bp)程度引き上げてマイナス0.3%に微調整することで、市場が数カ月前に100%の確率を見込んでいたその程度の動きすら、今は完全には織り込んでいない。

むしろ話題になっているのは、ECBが恐らくは低利の銀行向け長期資金供給という形でより緩和的になるかどうかの方だ。

今月ロンドンで開かれたロイターの年次投資サミットに参加した資産運用担当者の間では、こうした意見が主流だった。

カルミニャックのディディエ・サンジョルジュ氏は、来年はどこかの主要中央銀行が引き締めをあきらめると予想。「ECBとFRBの間でだれが真っ先に弱気になるかが大きな問題になるだろう」と語った。

FRBは既に弱気になっているかもしれない。クラリダ副議長は16日、追加利上げはこれまでよりもデータ次第の様相が強まると語り、FRBが考える「中立」金利が以前の想定より低くなっていることがうかがわれた。

米国では来月に再び利上げがあると広く見込まれているが、短期金融市場が完全に織り込んでいる来年の利上げは1回だけだ。そしてヘッジファンドをはじめとする投機筋は、見通しを修正しつつある。

先週の米10年国債先物の売り持ち規模の削減幅は、米商品先物取引委員会(CFTC)がデータ集計を開始した1995年以降で3番目の大きさだった。となれば、米長期金利が先月付けた3.26%は、今のサイクルの天井ではないだろうか。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの最新調査に答えた機関投資家は世界経済成長に関して過去10年で最も悲観的になった。もし経済成長と株式市場が来年勢いを失えば、投資家は長期金利が3%ないしそれ以上だった局面を羨望を交えて回想するだろう。

米国株や他の主要国株が来年上昇する事態は十分あり得る。それでも一段と上昇することのハードルが高くなっているのはほぼ疑いようがない。米企業の今年の増益率は30%前後というペースだが、来年は鈍化してしまう。景気転換について伝統的な先行指標である住宅市場は、既に下向きの兆しを見せている。

またしても有効な指針となるのが日本だ。日銀は、手管を尽くして出口を模索したものの、もう20年にわたってセロ金利から抜け出せていない。程度に差こそあれ、デフレや低成長、高齢化、1990年代の落ち込みをなお全面的に取り戻していない株価などが、日銀の手を縛ってきた。

日本の現在の政策金利はマイナス0.1%で、2010年からはゼロを上回っていない。0.5%より高かったのは1995年が最後だ。米国と世界の景気サイクルの転換が近づきつつある中では、今後何年も0.5%を超えないのはほぼ確実と言える。

これまでゼロ金利政策では日本が先行し、他の主要国が追随するのが常態化している。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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