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アングル:ウクライナ侵攻の「余波」、飼料用コメに旺盛な需要

[シンガポール 16日 ロイター] - 小麦とトウモロコシの価格急騰を受けて、アジア全域で飼料用の低品質米の需要が高まりつつある。ただでさえグローバルな食品価格インフレが過去最高の水準で推移している中で、世界で最も重要な主食用穀物の価格を押し上げている。

 3月16日、 小麦とトウモロコシの価格急騰を受けて、アジア全域で飼料用の低品質米の需要が高まりつつある。写真はカイロ近郊で収穫されたコメ。20219月撮影(2022年 ロイター/Mohamed Abd El Ghany)

世界中の農作物輸入国は、ロシアのウクライナ侵攻によって両国からの穀物の輸送が途切れたことで、供給確保に血眼になっている。ロシアとウクライナ両国を合わせると、世界の小麦輸出の25%、トウモロコシ輸出の16%を占めていたからだ。

先週、シカゴ商品取引所での小麦先物価格は過去最高値を更新し、トウモロコシ価格も10年ぶりの高値となった。戦火に見舞われたウクライナが港湾を閉鎖し、西側諸国による経済制裁がロシアからの輸出に打撃を与えたためだ。

小麦とトウモロコシの価格急騰により、バイヤーは代替品探しを迫られている。飼料市場の規模として世界最大の中国も例外ではない。トレーダーやアナリストによれば、中国の輸入業者はブタその他の肥育用飼料として、砕米、すなわち精米過程で砕けた低品質米の追加購入に向けて交渉を進めているという。

通常、コメの取引価格は小麦に比べてかなり割高だ。だが、小麦価格が1カ月で50%も急騰したことで、両者の価格差は急激に縮まり、一部の低品質米に比べて小麦の方が高くなる場合さえ生じている。

タイの輸出企業が扱う食用品質のコメの基準価格は、食用・飼料用の堅調な需要を背景に、先週は1トンあたり約421.50ドル(約5万17円)となった。これは前週比で5%高く、上昇幅としては2020年10月以来最大だ。

上昇幅だけでなく価格としても昨年6月以来の最高値であり、複数の情報源によれば、黒海経由での物流が途絶したままならば価格の上昇は続く可能性があるという。ベトナムとインドからの輸出価格も上昇している。

国際連合食糧農業機関(FAO)でコメ担当エコノミストを務めるシャーリー・ムスタファ氏は、「小麦・トウモロコシ市場の今の強気相場が続くなら、家畜向け飼料としての砕米への関心は高まる可能性がある。砕米は家畜向け飼料に留まらず、他の利用分野での代替品にもなりうる。たとえば、食品としてのコメに乗り換える人も増えるだろう」と、予測する。

<トウモロコシも入手難に>

中国は今年、ウクライナ産トウモロコシ最大200万トンの輸入を予約していたが、ウクライナの物流網の混乱により、その大半の出荷が危うくなっている。

北京を拠点とするコメのトレーダーによると、中国は不足する輸入分を補うために約300万トンの砕米を輸入すると予測されている。過去2年間の砕米輸入量は通年で約200万トンだった。

別の関係筋によると、広東省のある輸入企業はタイから砕米を購入する計画であり、他の輸入企業でも先日、飼料用としてインド産の砕米を購入したという。

インド米穀輸出協会のクリシュナ・ラオ会長はロイターの取材に対し、「トウモロコシ価格の上昇のために、インド産砕米の需要は高まっている。飼料メーカーは、トウモロコシをコメで代替しようと試みている」と話した。

ラオ会長によると、100%インド産の砕米の価格は、2月の1トンあたり290ドルから、3月には同320ドルに上昇した。

バンコクで活動するトレーダーによれば、コメ価格をさらに押し上げる要素として、タイの飼料メーカーがトウモロコシの代わりに砕米の飼料を拡大することを検討しており、これがタイ国内で価格を押し上げているという。

「タイの家畜飼料業界では、低品質米の需要が飛躍的に高まっている。実際、タイ産砕米のほとんどは国内市場で消費される可能性が高い」と、バンコクのあるトレーダーは語った。

<食糧危機の懸念も>

タイ米穀輸出協会のチョーキアート・オファスウオンセ名誉総裁によれば、インドはコメの消費量で中国に次ぐ世界第2位だが、同国内の小麦消費者が国産小麦の記録的な高値を受けてコメに切り替えるようなことがあれば、コメの在庫減少が加速し、第2四半期には国際的なコメ価格がさらに上昇しかねないという。

米国農務省によれば、今年の世界全体でのコメ在庫量は過去最高の1億9千万トンに達する見込みだ。しかし、2022年の世界全体でのコメ生産量は、消費量に対して500万トン未満の余裕しかない。世界的に需要が急増すれば、在庫はすぐに減り、コメ市場の強気相場をさらに促進するだろう。

さらに、コメ価格の上昇によってアフリカ、アジアの最貧国の一部では食料安全保障上の懸念が深刻化することになる。こうした国には、安く入手できるコメで命を繋いでいる人が何百万人もいるからだ。

シンガポールを拠点とする穀物トレーダーは、「今のところ砕米は主として飼料業界向けだが、戦争が長引いて十分な量の小麦を確保できない状況になれば、食料安全保障の問題になってくる」と語る。

「バイヤーは何とかして、高値の小麦をコメその他の作物で代替しようと努めるだろう」

(Naveen Thukral記者、翻訳:エァクレーレン)

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