[ニューヨーク 25日 ロイター] - ドルは基軸通貨として幾つもの新たな課題に直面しているが、その地位は今後何十年にもわたって維持されるだろう──。ムーディーズ・インベスター・サービシズは25日、こうした見通しを示した。
ムーディーズのアナリストチームは、ドルの国際的な貿易・金融取引における圧倒的な優位にとって目先最も大きな危険要素として、米国債のデフォルト(債務不履行)など政府自ら信頼を損ねるような政策上の失敗を演じることだと指摘した。
主要中央銀行の準備資産に占めるドルの比率は数十年にわたって低下傾向で、地政学的緊張もくすぶっているため、ドルの支配的地位が幕を下ろすのではないかとの観測が浮上しつつある。国際通貨基金(IMF)のデータによると、世界全体の公的準備において今世紀初頭はおよそ78%だったドルの比率が昨年第4・四半期には58%まで下がった。
しかしムーディーズは、現時点ではっきりとドルに代わりうる通貨は見当たらないと主張。準備資産に占めるドルの比率はこの先さらに低下すると予想されるが、ライバル的存在であるユーロと人民元は、ドルを支える米国経済の規模と開放性や米国債市場の厚みと安全性という中核的な特質を急に備えるのが難しいとみている。
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