December 29, 2017 / 11:59 PM / 5 months ago

コラム:2018年も「ゴルディロックスの年」は本当か

[ロンドン 8日 ロイター] - 債券市場は米国のリセッション(景気後退)に備えるべきだ。米イールドカーブは逆転する。米国の成長率はトランプ大統領が豪語し、往々にして嘲笑の的となった4%の水準に達する──。

 12月8日、2017年は多くの点で、最も強気な予測さえも不明を恥じる結果となったが、2018年はどうだろうか。写真は6日、ニューヨーク証券取引所のトレーダー(2017年 ロイター/Brendan McDermid)

多くの大手銀アナリストが示す2018年の展望のうち、目を引くものをいくつか挙げてみた。しかし逆説的に言えば、何よりも驚くべき点は、2018年も今年のように「ゴルディロックス(適温)の年」になる、ということかもしれない。

つまり、調和しているのだ。

すなわち、力強い世界成長、潤沢な企業利益、市場の低ボラティリティ、債券利回りの緩やかな上昇、株価「メルトアップ」の継続、といった好都合な組み合わせである。

2017年は、多くの点で、最も強気な予測さえも不明を恥じる結果となった。世界株価は2割上昇し、グローバル経済成長率は2011年以来最高に、債券や株式市場のボラティリティは記録的な低さで、「ジャンク」格付けの債券利回りは史上最低の水準となった。

どの年にも特徴的に見られる市場の調整局面や一時的なボラティリティ上昇を別にすれば、2017年の状況はシームレスに2018年につながっていく、というのが大方のアナリストの予想だ。

一部の市場では変化のペースにばらつきはあるかもしれないが、基本的には、同じメロディが続いていくことになる。

だが、そんなことがあり得るのだろうか。

この1年、各国市場における唯一最大のけん引役は、中央銀行による景気刺激策だ。米連邦準備理事会(FRB)は利上げを進め、自身のバランスシートを改善しようとしているかもしれないが、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行の動きは、その穴を埋めてあまりある。

ドイツ銀行のアナリストによれば、世界の主要中銀による量的緩和は、今年3月に1820億ドル(約20兆5000億円)/月となり、グローバル金融危機後で最高の水準を記録した。彼らの予測では、これが2018年末までに530億ドルまで縮小し、2019年半ばには明確な流動性縮小へ転じるという。

各国中銀が提供する膨大な流動性はあらゆる市場を引っ張り上げてきたが、今や枯渇しつつある。では、それに代わるものは何だろうか。

グローバルな経済成長がこれだけ好調なだけに、多くのエコノミストは、中銀のカンフル剤注入は必要ないと考えている。消費需要と企業投資は十分に強力で、世界経済は3.5%程度の成長を維持できるだろう。

バークレイズのエコノミストは「自己強化型の経済サイクル」と呼び、来年のグローバル経済は4.0%成長すると予測。この堂々たる数値は、BNPパリバによる第2四半期の米国経済予測と同じだ。

とはいえ、潜在的な落し穴に不足はない。

第1に、グローバル規模で金融政策が緊縮に向かうのは、ここ10年以上見られなかった局面だ。

JPモルガンによれば延べ700回に及ぶ利下げ、ドイツ銀行の試算では8兆ドルもの量的緩和、そしてマイナス金利といった過去10年間の異次元の金融政策が1つの実験であったとすれば、これを逆転させることは、どれほど慎重に進めたとしても、これまた新たな実験になると言わざるを得ない。

「最近始まった大きな巻き戻しは、きわめて直接的な影響を生むことになる可能性が高い」とJPモルガンは警告する。

<致命的な組み合わせ>

さんざん論じられてきたことではあるが、日本の例を無視することはできない。日銀はもう四半世紀近くも、デフレや低成長、不動産や株式市場の暴落による後遺症に苦しめられている。

日銀が最初にゼロ金利政策を採用したのは1999年。量的緩和は2001年に開始された。今年は「イールドカーブ・コントロール」政策を発表し、外為市場においても各国中銀のなかで最も活発に市場介入を行っている。

こうした政策からの離脱や政策の反転には大きな困難が伴うことは明白だ。日銀は、状況は好転したと判断して、2000年と2006─7年に利上げに踏み切ったが、どちらも政策判断ミスという結果に終わった。

このところ日銀の黒田東彦総裁は金融緩和をさらに進めることに対する副作用について強調しており、さほど遠くない将来に利上げに転じることを示唆している。だが2008年の金融危機以前と比べてもグローバルな債務残高は大きくなっており、世界的な金融引き締めには明白なリスクが伴う。

第2に、景気拡大はすでに長く続いている。米国では100カ月連続で拡大しており、2018年を迎える頃には、1960年代の120カ月連続記録に迫ることになる。

景気拡大が終わるのは、その長命ゆえではなく、FRBに「殺される」からだと言われている。しかしこの場合、両方の要素が働いている。景気循環が成熟しており、その一方でFRBは利上げを行い、自らのバランスシートの縮小を開始しようとしているのだ。

金融政策の引き締めによって経済の追い風が止むのであれば、今年驚くほど好調だった企業利益が、来年も再現される可能性は低くなる。

金融市場においては、2016年の企業収益停滞は各国中銀の寛容さによって緩和された。今年の株式市場における企業収益は、欧米いずれにおいても、少なくとも10%は成長した。来年はこれほど好調ではないだろうし、中銀も資金を回収しつつある。この組み合わせは強い影響を与えかねない。

第3に、金融市場のボラティリティ上昇が予想される。

景気循環と同じように、市場も数年間の周期で変動する。米国株式市場は2009年3月に底を打ち、その後は10%規模の修正局面をほとんど経験していない。十分に予想された債券市場の崩壊は起きず、高イールド債券価格はこれまでになく上昇している。

市場は過大評価されているのか、もしそうならどの程度かという点について、アナリストの見解は一致していない。世界最大の資産運用会社ブラックロックは、シラー株価収益率といった株式市場の評価尺度はもはや有効ではなく、上昇局面はさらに数年は続く可能性があるという意見に賛同している。

だが一方で、この状況に懸念を抱き、高イールド債券市場に加えて、株式市場の一部でもすでにバブルが生じているのではないかとの主張も聞こえてくる。

2017年の市場上昇を支えたのは、ボラティリティの低さだ。S&P500種株価指数の予想変動率を測定するVIX指数は先月、9%を下回る過去最低の水準を記録し、年平均も通年で過去最低となった。

2017年の米国市場は、その歴史上最も平穏に終わることが確実になった。ニューヨークのペンション・パートナーズのチャーリー・ビレロ氏によれば、ダウ平均の日中変動は、今年の取引日の95%において1%未満だったという。

(翻訳:エァクレーレン)

 12月8日、2017年は多くの点で、最も強気な予測さえも不明を恥じる結果となったが、2018年はどうだろうか。写真は都内で2016年2月撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)

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