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コラム:ユーロ圏で「テーパー・タントラム」が起きない理由
2016年10月6日 / 02:22 / 1年後

コラム:ユーロ圏で「テーパー・タントラム」が起きない理由

[ロンドン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国債市場では3年前、連邦準備理事会(FRB)が量的緩和縮小を示唆したことを受けて「テーパー・タントラム(緩和縮小に対するかんしゃく玉の破裂の意味)」と呼ばれる大混乱が起きた。だがさえない経済成長が続く今のユーロ圏の国債市場は、事情がまったく異なる。欧州中央銀行(ECB)が毎月800億ユーロの債券買い入れを縮小するかもしれないと報道され、利回りが上昇した。といってもそれはせいぜい「テーパー・ウィンパー(緩和縮小への哀れな鳴き声)」といったところだろう。

 10月5日、米国債市場では3年前、連邦準備理事会(FRB)が量的緩和縮小を示唆したことを受けて「テーパー・タントラム(緩和縮小に対するかんしゃく玉の破裂の意味)」と呼ばれる大混乱が起きた。写真はフランクフルトの欧州中央銀行(ECB)本部。2015年1月撮影(2016年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

ドイツ10年国債利回りは、ECB緩和縮小報道があった翌日の5日にわずか5ベーシスポイント(bp)上昇しただけだった。これは2013年5月に起きた米国のテーパー・タントラムのような暴力的な動きをECBが受け入れられる、と考えている投資家がほとんどいないことをはっきり示している。当時、米10年国債利回りは数カ月のうちに2倍近く跳ね上がって3%強となった。そんなことがユーロ圏で起きれば壊滅的な事態を招く。イタリアやポルトガルといった国は、借り入れコストが下がっているにもかかわらず依然として債務圧縮に苦労しているからだ。

弱い成長と物価上昇率もECBの手を縛るだろう。FRBが量的緩和縮小をにおわせた際、向こう1年の成長率は最高で3.4%になると予想していた。これはECBの2017年の成長率見通しの2倍以上の高さだ。さらに物価上昇率はECBが目標とする2%弱を下回り続けている。もしも緩和縮小があるとしても、それは非常にゆっくりしたペースになるとみられる。

物価上昇率が徐々に上向いていくというECBの想定が正しいとした場合、バークレイズのアナリストチームの試算では、ECBが最も低いケースの物価見通しを達成するためでも2018年までに毎月約450ユーロの債券を買い入れる必要がある。またバークレイズの予想するようにユーロ圏の成長率が1%程度で推移するなら、ECBは現在よりも緩和を強化しなければならなくなる。

FRBには緩和縮小の検討が許されるだけの政治的な支持があったが、それはECBに期待できない。ユーロ圏では経済基盤のより強い国は支出を増やすこと、より弱い国は構造改革の推進が求められている。ギリシャないしポルトガルといった一握りの国はまだ債務再編が必要な段階だ。しかし来年はドイツやフランスなどで選挙が予定され、どの国も課題はすぐに実行されない。結果的にECBの超緩和的な政策がしばらく続くことになる。

●背景となるニュース

*ECB当局は、債券買い入れプログラムを終了させる決定をいったん下した場合は購入規模を「縮小」していくことで「非公式の合意」に達した、とブルームバーグが4日伝えた。

*ECBは昨年3月に国債買い入れを開始し、現在は国債やその他債券を毎月800億ユーロ購入している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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