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焦点:米利上げ後のドル高で生まれた市場の悩ましい矛盾

[ロンドン 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の利上げに対する金融市場の反応は、一見すると落ち着いており、何の問題もないようだ。しかし掘り下げて観察すると、そこには悩ましい矛盾が見られ、その中心にはドルの値動きがある。

 12月17日、米連邦準備理事会(FRB)の利上げに対する金融市場の反応は、一見すると落ち着いており、何の問題もないようだ。しかし掘り下げて観察すると、そこには悩ましい矛盾が見られ、その中心にはドルの値動きがある。ブダペストで2011年11月撮影(2015年 ロイター/Laszlo Balogh)

ドルは16日に1%高と1カ月ぶりの大幅上昇を記録したが、利上げを受けたドル高というのは決して定説とは言えない。それは米長期債利回りが低下したからだけでなく、1994年、1999年、2004年という過去3回のFRBによる引き締め開始局面で、ドルが軟化していたという事実もあるからだ。

ドル高が来年も続けば、米利上げ後にせっかく反発した新興国株や高利回り債、原油・金属価格などが持ちこたえられるのかという疑問が浮上する。ドル高は米国の輸出業者や経済成長にも悪影響を及ぼしかねない。

そして中国人民元の行方や、多額の借金を抱えた石油・鉱山会社の経営安定性、産油国の財政事情などが、来年の国際金融市場に大きなリスクになるとすれば、ドル高はいや応なしにそうしたリスクを増幅させる。

FRBの利上げ後に、米金利上昇やドル高に弱いはずの新興国株や高利回り債は値上がりした。

インターマーケット・ストラテジーのアシュラフ・ライディ最高経営責任者(CEO)は「市場にいくつかの食い違いが起きている」と述べる。

その上でライディ氏は、過去の事例やFRBがこれまでの5年間のうち4年で政策金利見通しを下方修正していることを踏まえ、今の市場の反応が向こう1年間の予想に当てはめられるとの見方は疑ってかかるべきだと警告した。

もっとも多くの投資家にとっての問題は、足元の矛盾がドルの下落か他の資産市場における新たな混乱のどちらかによって解消されるのかという点だ。

HSBCのグローバル・チーフエコノミスト、ジャネット・ヘンリー氏は「重要な疑問は、米経済が結局のところ自らの景気回復を支えるだけでなく、世界の貿易と成長を押し上げるほどしっかりして、米国へもたらされるデフレ圧力を弱められるかどうかだ」と指摘した。

ヘンリー氏によると、こうした展開にならない場合、米経済はドル高を通じて世界的なデフレの新たな犠牲者となり、FRBは利上げしたそばから利下げに転じるという他の先進国中央銀行の二の舞を演じるだろうという。

<ドル高にもろい新興国>

FRBが16日公表した政策金利見通しは、来年を通じて25ベーシスポイント(bp)の利上げを4回行うことを想定している。これに対して市場は来年の利上げ幅は50bpにとどまるとの予想を変えていない。

ライディ氏は、物価上昇圧力の弱さやコモディティの低価格、中国をはじめとする新興国経済の先行き不透明感などを考慮すると、FRBの政策運営は市場の見方に沿った形に軌道修正せざるを得ないとみている。

それでもFRBが見通し通りに利上げすれば、市場はより大幅な利上げを織り込み、既に過去2年で25%も上がっているドルはさらに高くなる可能性がある。

一方で現在の新興市場国は、FRBの超金融緩和を利用して多額のドル建て債務を積み上げてしまっただけに、とりわけドル高に対して脆弱になっている。

JPモルガンによると、新興国における非金融民間セクターの借り入れ額の対国内総生産(GDP)比は130%と、2000時点の2倍に上る。その約3分の1を抱えるのが中国だ。

ソシエテ・ジェネラルのシニアストラテジスト、ケネス・ブルー氏は「新興国とコモディティから目を離してはならない。調整はまだ終わっていないかもしれず、一部の新興国が苦しむ状況は続くだろう」と話した。

(Jamie McGeever記者)

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