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コラム

コラム:北京新証取構想に潜む取引所「共食い」リスク

[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ピカピカの新しいシステムが、古い問題の最適解とは限らない。先週、習近平国家主席が発表した北京証券取引所設立計画は、中小企業の資金調達を支援するのを企図している。その目的は立派だが、中国としては4回目の試みで、既存の証券取引所から流動性と関心を奪うリスクがある。

 ピカピカの新しいシステムが、古い問題の最適解とは限らない。先週、習近平国家主席が発表した北京証券取引所設立計画は、中小企業の資金調達を支援するのを企図している。その目的は立派だが、中国としては4回目の試みで、既存の証券取引所から流動性と関心を奪うリスクがある。上海証取で2020年2月撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

習主席は、2日の貿易見本市開幕時に行った演説で北京取引所構想に言及した。翌3日午後の市場監督当局の説明によると、新取引所は上海・深セン取引所の上場企業より規模の小さい企業を対象とし、取引参加者は、プロや豊富な資金を持つといった一定の基準を満たした投資家に限られる。北京にある店頭株式市場「新三板」が新取引所の親会社となり、新三板で取引されている上位66社が取引銘柄に含まれる。

新三板は数年にわたり低迷していたが、最近の改革で小規模な新規株式公開(IPO)ができるようになり、一定の関心を集めている。新三板には現在、約7300社が上場している。ただ北京に新たに取引所を設立するというのは、周到に計画された資金調達の国家戦略というより、政府当局者のメンツのための事業のように見える。中国にはすでにスタートアップ(新興企業)向けの市場が2つあり、それを拡充するという手もあった。2009年に開設された深セン証取の「創業板(チャイネクスト)」は1日の平均取引額が238億ドル、2年前に上海証取で発足した「科創板」は67億ドルだ。これに対し、新三板は8900万ドルに過ぎない。

北京の新取引所が成功するには、問題を解決するか、話題の新セクターを取り込んだり、制度を改善するといった、何か目新しさを打ち出す必要がある。上海証取の科創板は、上場手続きを登録制にしたり、上場時期を当局でなく企業が決められるようにした。深センのチャイネクストは、同国で初めてテクノロジーやイノベーションに関連した企業に注目した市場だ。取引所が初期段階の成功を維持するためには、信頼できる流動性を提供し、投資家や銀行が時間と労力をかけられるようにする必要がある。

中国では雇用の80%を中小企業が担う。このため、中小企業の資金調達は長年、共産党指導部の優先事項となっている。新取引所は、習主席が支援姿勢を明らかにしているものの、上海や深センの取引所よりも効率性に優れた何かを提供できるのかは不透明だ。リスクは、当初の注目が薄れると、そこに上場している企業が、約束されたようなプールで泳ぐのでなく、水たまり程度の流動性に閉じ込められることだ。

●背景となるニュース

*中国の習主席、北京証券取引所の設立表明 中小企業向け

*北京証取設立計画、既存の店頭市場が土台 取引所間の競争激化へ

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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