July 5, 2018 / 3:20 AM / 2 months ago

コラム:金融市場に重大な転機か、「98年と類似」の声も

[ロンドン 3日 ロイター] - 7月初めは、投資家が自らのポジションを吟味して、再評価を行い、この先6カ月間の投資先を見極める時期だ。今年はここが重大な転換点になるかもしれない。

 7月3日、7月初めは投資家が自らのポジションを吟味して、再評価を行い、この先6カ月間の投資先を見極める時期だ。今年はここが重大な転換点になるかもしれない。写真はニューヨーク証券取引所。5月撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

新興市場はのしかかる重圧にあえいでおり、信用市場は崩壊し、米国債利回りは、リセッションの前兆を示す逆イールド(長短金利差の逆転)状態になるまで30ベーシスポイント程度の余裕しかない。今年前半、米国株式の上昇を牽引したテクノロジー株や銀行株も動揺している。

これに加え、中国人民元は急落しており、グローバルな貿易戦争に対する懸念が高まっていることを思えば、一部の投資家が何もかも諦めて逃げ出したくなるのも、分からなくはない。

株式投資家が、このところ神経質になっているのは明らかだ。投資の世界において、増え続ける懸念材料と無縁でいられる場所など、どこにもなく、今やそこに貿易戦争の恐れまで加わったのだ。

ムニューシン財務長官からロス商務長官に至るまで、米政府高官は日常的にテレビのビジネス番組に出演している。どうやら、トランプ大統領が放つ貿易関係のレトリックによって動揺する投資家を落ち着かせようとしているようだ。

中国やブラジルの株式市場は下げ相場に突入し、インドルピーは過去最低の水準に落ち込んだ。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)によれば、世界の株式ファンドは先週、週単位で過去2番目に大きい300億ドル(約3兆3000億円)の資金流出が発生し、米国株式ファンドも史上3番目となる240億ドルの流出があった。

もちろん、市場センチメントや相場、そして資金フローが1つの方向にひどく集中している場合には、それだけ逆の反動が起きる可能性も大きくなる。BAMLの「ブルベア」指標は、「嘲笑するかのように『バイ(買い)』シグナルに近く、信用・株式市場で逆張り投資家の結集を呼びかけている」。

グローバル経済の成長軌道が持続する限り、企業収益の伸びも適度なペースで好調さを維持するだろうし、金融市場のボラティリティーも比較的抑制されたままとなるだろう。

ボラティリティーが低ければ、投資家は自信を持って資金運用に臨み、リスクをとることができるため、大半の資産にとってプラスをもたらす。企業収益の順調な成長は、特に株式にとって支えとなる。

だが、信用市場と新興市場のスプレッドは拡大している。テクノロジーや金融銘柄のロングポジションは過剰に見え、米金利上昇に対する懸念は高まっている。緩慢であろうとも、ボラティリティーが上昇し始めていることに疑いはない。

現在の状況は、アジア危機とロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の破綻によって世界各国の市場が大混乱に陥った1998年のそれと似ていると、BAMLのストラテジストは指摘。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め、米国のデカップリング(切り離し)、ドル高、イールドカーブのフラット化、新興市場の脆弱さなどの共通項を挙げた。

1997年7月から翌年10月にかけて、新興市場の株価はドル換算で59%下落し、1998年7月から10月にかけては、先進国の市場もその流れに飲み込まれた。S&P総合500種とナスダック総合指数はそれぞれ22%、33%下落し、米銀行株も43%急落した。円は30%上昇し、株と債券市場のボラティリティーは3倍に拡大した。

ただ、これだけの規模の相場下落や変動が間近に迫っているどころか、可能性があるという兆候すら見受けられない。ロイターがファンドマネジャーを対象に行った最新の調査によれば、投資家は今なお年末にかけて株価は上昇すると期待している。

だが、彼らは身構えつつある。株式エクスポージャーをほぼ1年ぶりの低水準に抑えており、現金資産の保有高は、過去1年で最も高い水準にある。少なくとも、投資家が頭を冷やすために一息入れているのはほぼ間違いない。

<不安を呼ぶイールドカーブ>

また、イールドカーブのフラット化が今後の景気の減速を示唆しているかどうかについては、かなりの議論が必要となるが、それが多くのプレッシャーを生み出していることについても、ほとんど疑問の余地がない。いや、減速では済まないかもしれない。

米国のイールドカーブ、つまり10年物と2年物の米国債利回り差は、この10年間で最も小さく、逆転までわずか30ベーシスポイントだ。過去半世紀に見られた逆イールド状態は、ほぼすべてリセッションに先立って発生している。

モルガンスタンレーのアナリストは、10年物国債を買い続け、米国、フランス、英国、日本においてイールドカーブのフラット化に賭ける取引きで利益を狙うよう、投資家に勧めている。

「私たちの見解は、予想されるドル高と、新興国株価の低迷、貿易摩擦の激化、厳しい金融状況にもかかわらずFRBがタカ派姿勢を継続していることに裏付けられる」と彼らは調査リポートで指摘している。

経済成長とリスク選好度が上昇するという自信はほとんど見られない。

貿易や通貨を巡って一触即発の状態にある世界的な対立が沈静化しなければ、市場はほぼ確実に転機を迎えるだろう。それは、これまで以上に、中国が意図的に低め誘導している人民元の対ドル相場において、はっきりと繰り広げられている。

中国人民銀行(中央銀行)は、FRBによる先月の利上げに追随しなかった。同銀は当てつけのように、市中銀行の預金準備率を引き下げることで金融政策を緩和したが、こうした政策の乖離(かいり)が為替レートに与える影響は1つしかない。

人民元は「公式」「オフショア」レートとも下落しているが、オフショアレートの方が下落ペースが速い。これは、貿易・為替戦争、世界経済成長に与える打撃、中国からの資本逃避、あるいはこうした問題すべてに対して、世界の投資家がますます懸念を深めていることを示している。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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 7月3日、7月初めは投資家が自らのポジションを吟味して、再評価を行い、この先6カ月間の投資先を見極める時期だ。今年はここが重大な転換点になるかもしれない。写真は上海で6月撮影(2018年 ロイター/Aly Song)

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