November 1, 2018 / 7:46 AM / 16 days ago

コラム:弱気相場入りする米国株、前途覆う「政策手詰まり感」

[ロンドン 30日 ロイター] - 9年にわたる米株の強気相場は、ついに終焉を迎えつつあるようだ。2割を超える株価の反落が世界市場を巻き込む中で、歴史的な長さに及んだ上昇局面の反動で、弱気市場が広がることへの懸念が高まっている。

 10月31日、9年にわたる米株の強気相場は、ついに終焉を迎えつつあるようだ。2割を超える株価の反落が世界市場を巻き込む中で、歴史的な長さに及んだ上昇局面の反動で、弱気市場が広がることへの懸念が高まっている。写真は9月、ニューヨーク証券取引所のトレーダー(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

株価の落ち込みが長期化し、企業マインドの後退や設備投資減少といった形で実体経済に投影されるならば、世界経済の深刻な停滞や、さらにはリセッション(景気後退)を招くリスクが高まってくる。

ただ、そこまでなら、景気循環の範囲内だ。多くの人から見て、大幅に機が熟しすぎてはいるが。

大きな問題は、そして、さらに大きな「懸念の種」とも言えることは、金融・財政政策当局が、墜落のショックをどれだけ和らげることができるか、という点だ。

投資家は、自分たちがターニングポイントに差し掛かっている可能性を悟り始めている。100人以上のポートフォリオマネジャーと最高投資責任者を対象にモルガン・スタンレーが行った調査によれば、回答者の8割が今後の資産価格について「警戒」もしくは「弱気」であり、「楽観」や「強気」は2割にとどまった。

同調査では、2月にボラティリティーが急上昇したことで株価が12%急落したときには見られなかった「心理的な変化」が指摘されている。2月当時は、クライアントが買いポジションを大幅に積み増しており、強い押し目買いが入っていた。だが現在は、少しでも株価が反発すれば売り抜けようという意欲の方が、はるかに上回っている。

「投資家のフィードバックと市場の動きから、センチメントが大きく弱気に転じていることが明らかになりつつある」とモルガン・スタンレーは指摘している。

ブラックロックは、すでに世界規模で株価と収益成長のデカップリング(乖離)が進んでおり、これは来年予想されている収益成長の鈍化を先取りするものだ、と指摘している。

ゴールドマンサックスのアナリストによれば、S&P500種の下落日が3週間のうち13日に達したのは先週が、1990年以来初めてだったという。下落規模だけ見れば2008年のドットコム・バブル崩壊には及ばないものの、その頻度は「劇的」であり、警戒を要する。

S&P500種は10月に入ってから10%近く下落しており、これは2009年2月以来で最悪の月間パフォーマンスだ。今年1月26日から2月9日にかけては、わずか2週間で12%急落したが、今回の回復範囲はより限定的だ。

<政策手詰まり感>

米連邦準備理事会(FRB)が長期金利をコントロールする能力は失われている。他の条件に変化がなければ、政府による1.5兆ドル(約170兆円)の減税と国防予算増を賄うために、大量の米国債が新規発行されるため、利回りは自然と下限が設定されてしまう。

2018年の米財政赤字は7790億ドルと2012年以来最大となり、来年には1兆ドルに近づく見込みだ。経済成長がかなり順調な時期に財政赤字が膨らんでいることを思えば、これは「深刻な問題」だと超党派ポリシーセンターは警告する。

トランプ政権による財政刺激策は今年の米国経済にとってカンフル剤になったかもしれないが、その効果はじきに薄れていく。米国経済の成長率は現在3.5%だが、恐らく来年末には2%にまで減速するだろう。2020年までにリセッションに陥る可能性は高まっている。

11月の中間選挙において、野党・民主党が下院で過半数を奪還すれば、追加的な財政刺激策を講じる見込みは厳しく制約されるだろう。そうなれば政権は手詰まりの状態に陥る。

2018年の米国債発行額が1兆3400億ドルと前年の2倍以上に膨らむ一方で、FRBは自らのバランスシート縮小を進めている。量的緩和は量的引き締めに席を譲り、金利は上昇しつつある。

米国以外の国々が十分な景気刺激策を講じる見通しも暗くなっている。だからといって必ず株式市場が弱気に転じるとは限らないが、本格的な押し目買いによる株価上昇を引き起こすことが難しくする。

第3・四半期の中国の経済成長率は年率6.7%だった。同国の成長率がこれを下回ったのは過去25年でたった1度だけだ。2009年第1・四半期に、世界金融危機に影響されて6.4%をつけている。

中国政府は景気対策向けの原資として3兆ドル以上の外貨準備を抱えており、銀行に対する与信規制を緩和し、人民元の対ドル相場が過去10年で最低の水準まで下落することを容認している。3月以降、人民元は約10%下落した。

だが、米国との通商摩擦が影を落としつつあり、欧州もその苦痛を感じ始めている。第3・四半期のユーロ圏の成長率は0.2%に減速。これは予想されていた成長率の半分で、ここ4年で最低の数字だった。

ユーロ圏の成長率が、ここにきて減速に転じていることは、まさしく悪いタイミングだ。欧州中央銀行(ECB)が2.6兆ユーロ規模の量的緩和プログラムを終らせ、来年の利上げに向けた準備を整えているところだからだ。それとも、ECBのドラギ総裁は、この状況に目をつぶるのだろうか。

新興国の一部は深刻な景気減速か、場合によってはリセッションにまで陥っており、新興国の株価指数の多くはすでに弱気市場の域に入っている。それにもかかわらず、これらの国々の中央銀行は、自国通貨を支えるため、利上げを余儀なくされている。

こうしたすべての状況が重なり、しかも米国株式市場などでは、企業業績の成長展望も厳しい状態にある。バークレイズのアナリストは、米国企業の収益成長率が今年の20%以上から、来年は10%以下に落ち込むと推測し、米中間の貿易戦争が「全面的」なものに発展すれば、さらに3%低下する可能性があると警告している。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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