March 2, 2018 / 1:56 AM / 7 months ago

コラム:「米株崩壊」サイン点灯か、長期過大評価ゾーン突入

[ロンドン 27日 ロイター] - 「歴史は決して同じように繰り返すことはないが、韻を踏む」と言われている。だとすれば、世界各国の外為市場でドルが下落し、米株市場がこのところ「長期的な過大評価ゾーン」に入ったことに対して、投資家は大いに警戒すべきだ。

 2月27日、金融市場・学界において長い経験を積んだ専門家2人によれば、米国株式が全面的に暴落する条件が整いつつあるという。写真はニューヨーク証券取引所(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

これは、金融市場・学界において長い経験を積んだ専門家2人による見解であり、両者とも、米国株式が全面的に暴落する条件が整いつつある、と述べている。

とはいえ、米シカゴ大学名誉教授ロバート・アリバー氏と、クレディスイスの投資ストラテジストとして40年以上務めた経験を持つジョナサン・ウィルモット氏は、株価崩壊がいつ生じるかという点については、そこまでの確信を持ててはいない。

だが、崩壊がやってくるのは確かだ。

両人は先週、ロンドンで行われたパネルディスカッションに登壇し、暗い展望について説明した。ウィルモット氏による分析の根拠は、1850年代にまで遡る複合的な企業収益評価という尺度であり、アリバー氏の根拠は1980年代以降の米ドルの変動サイクルである。

まず、ウィルモット氏の分析によれば、米株市場は昨年12月、「長期的過大評価ゾーン(SOZ)」に突入した。これは、1850年以降で13回目、1905年以降ではまだ7回目である。奇妙なことに、1987年の暴落前にはこの状況は見られなかった。

ウィルモット氏による米国市場の評価基準は、自身が計算した株価収益率、実質市場利回り、債券と比較した株の相対的パフォーマンス、そして企業収益のミックスだ。この指標が平均値より標準偏差分だけ上回ると、株価は「長期的過大評価ゾーン」に入ったものとされる。

「ゾーン」突入後、市場がどれくらいで下降に転じるかを知るための公式はない。2─3カ月の場合もあれば、3年かかる場合もあるだろう。過去に起きた「ゾーン」事例全体での平均は11カ月で、この間も株価はさらに5─10%上昇する可能性がある。

ウィルモット氏が定義する「真のバブル」が発生した1929年、そしてドットコム・ブームでは、株価はさらに、それぞれ54%、83%上昇してから暴落を迎えた。

米株市場はグローバル金融危機後の2009年3月に底を打って以来、上昇を続けている。9年間に及ぶ強気相場は、1928年以降で2番目の長さだとヤーデニ・リサーチは指摘。

ウォール街で最も熱心な楽観主義者でさえ、少なくとも市場の一部は割高になっていると認識している。

だがウィルモット氏によれば、ひとたび市場が下降に転じれば、通常は30─50%下落する。バブル崩壊の要因は何か。たいていは、次の3つのうちのどれかだ。つまり金融政策の急激な引き締め、大きな信用事件、外国人投資家による突然の資本逃避である。

今のところどれも視野に入ってはいない。だが同じことは、1987年初頭、2000年初頭、そして2007年にも言えたかもしれないのだ。

<ドル変動、4回目のサイクル>

ロバート・アリバー氏も弱気という点では違いはない。だが、さらに俯瞰的な同氏の見解の軸となっているのはドル相場だ。

1980年以来、ドルの変動サイクルは3度生じており、いずれも高騰の後に暴落という類似のパターンに従っている。現在は4回目のサイクルの中盤にあるとアリバー氏は主張する。

サイクルは次のように進行する。「拡大フェーズ」では、ドル建て資産向けの投資需要が高まり、ドル高、米資産価格の上昇などが見られる。それから「収縮フェーズ」への移行フェーズとなり、ドル建て債券への需要が減退し、ドル安となり、米国の資産価格も下落する。

資本流入やドル相場、米国資産市場について、統一的な転換点があるわけではない。それぞれが別々の段階で転機を迎える可能性はあるし、実際にもそうなっている。だが、そのいずれもが、本格的な市場の暴落を引き起こす。

最初のサイクルは1980年代に見られた。ドルはプラザ合意が成立した1985年第3・四半期にピークに達し、アリバー氏の試算では、米国への資本流入は1986年第3四半期にピークアウトした。そして1987年10月19日の「ブラック・マンデー」へと続く。ウォール街の歴史上、1日の下げ幅としては依然、圧倒的な第1位だ。

2度目のサイクルは1990年代後半に生じた。1995年から2000年にかけてドルは約50%上昇し、この間、S&P500は再び3倍以上に高騰した。ナスダック総合は6倍以上に上昇したが、ドットコム・バブルが派手に弾けて、8割急落した。

ドルが3回目に浮かれ気分の上昇を見せたのは2000年代半ばである。主要通貨バスケットに対する名目レートは下落したものの、中国の人民元に対する実質レートで上昇。これは、ちょうど中国が米国にとって単独で最大の貿易相手国となり、経済・金融両面で世界の大国化した時期だった、とアリバー氏は言う。

中国の生産性向上は、実質ベースでの人民元安と、事実上のドル高を意味した。また中国の好景気と石油需要の増大により、米ドルでの外貨準備が大量に必要とされるようになり、米ドル建て債券も上昇した。

ドル建ての外貨準備高は2002年から2008年にかけて推定3兆ドル膨らんだ。その多くは米国債によるものだったが、米国の不動産や株式に向かった資金もかなりの額に達した。2008年後半に何が起きたかは、誰もが知る通りだ。

現在は2009年後半に始まった4回目のサイクルの「移行フェーズ」にあるとアリバー氏は言う。ドルはちょうど1年前に記録した高値から15%下落し、米国への資本流入は2017年第4・四半期に、そして米国株式は1月26日にピークアウトした可能性がある。

「モデルが正しく、ドルの変動サイクルが存在し、資本流入がピークアウトしたとすれば、株価の非常に急激な下落が見込まれる。どの程度、急激な下落になるかは予想がしにくいが、軽く5割に達する可能性がある」とアリバー氏は語った。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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 2月27日、金融市場・学界において長い経験を積んだ専門家2人によれば、米国株式が全面的に暴落する条件が整いつつあるという。写真は9日、ニューヨーク証券取引所(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

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