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写真が語る2017年:草刈る少年、米大統領に気付かず

[11日 ロイター] - トランプ米大統領が大声て呼びかけても存在に気付かず、一心にホワイトハウスの芝を刈る少年。2017年を象徴する写真について、ロイター・カメラマンが撮影当時の様子を語る。

12月11日、ロイター写真部は2017年の重要な場面を目撃してきた。写真は2017年9月15日、ホワイトハウスの芝を刈る少年に声をかけるトランプ米大統領(2018年 ロイター/Carlos Barria)

撮影したカメラマン:Carlos Barria

ワシントンで政治を担当していると、お堅くて厳格な管理下での撮影を要求されることに戸惑いを覚える。だが時折、台本なしの自然な瞬間に立ち会えることもある。

9月15日、ホワイトハウスの代表取材担当者は、写真撮影に備えてローズガーデンのドア付近に集まるよう言われた。それは事前に公表された予定になく、何が起こるのか分からなかった。

それは「ホワイトハウスの庭の芝の手入れをします」という手紙を送った11歳のフランク・ジャシオ君を、トランプ大統領がサプライズで喜ばせようというものだった。少年はその日、ホワイトハウスに招かれ、国立公園局の職員と一緒に働くことになっていた。

大統領の登場を待つ間、ジャシオ君が自分の仕事にとても集中していて、庭の周りに集まった記者やカメラマンに大して注意を払っていないことが分かった。すると突然、トレードマークの長い赤ネクタイ姿のトランプ大統領が、かつて自身が司会を務めたリアリティー番組のエピソードさながらに、庭の反対側から現われた。

大統領は、ジャシオ君と一緒に写真を撮ろうと近づいて声をかけた。草刈り機の音に負けないよう少年に向かって声を張り上げたが、機械の音が大きすぎた。ジャシオ君は仕事に集中するあまり、大統領に気付かず、草刈り機を押して大統領の横を通り過ぎてしまった。

トランプ大統領は、一瞬動きを止めたが、ジャシオ君と話そうと芝生の終わりまで歩いて行った。だがジャシオ君はまたも草刈りをやめず、駆け寄った父親が注意すると、ようやく気付いて大統領にあいさつした。

芝生を刈る少年に向かって大統領が叫んでいる写真は、政治的に分断された今日の米国ではさまざまな解釈を呼ぶかもしれない。

だが私にとってこれは、ほとんど大統領を無視しているようにさえ見えるほど、自分の仕事に夢中になっている少年の写真にすぎない。

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