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焦点:実物資産「金」にマネーシフト、マイナス金利導入で勢い
2016年2月25日 / 08:58 / 2年後

焦点:実物資産「金」にマネーシフト、マイナス金利導入で勢い

[東京 25日 ロイター] - 金(ゴールド)市場への資金流入が勢いづいている。昨年秋ごろまでは、原油の下げ過程で連れ安となっていたが、足元では原油安/株安に伴うリスク回避で買い進まれる逆相関の関係に転換。日欧のマイナス金利政策の導入で、中央銀行やペーパー資産への不信感が強まっていることも「実物資産」の魅力を増している。

 2月25日、金(ゴールド)市場への資金流入が勢いづいている。写真はロンドンで昨年7月撮影(2016年 ロイター/Neil Hall)

<「紙幣にコストも」と意識>

金は金利(利息)を生まない商品だ。過去の米利上げ後、価格は堅調に推移するとの経験則はあったものの、昨年末の米利上げをきっかけに米金利が上昇していけば、金利選好の投資家には魅力が乏しくなるとみられていた。

しかし、「日欧中銀のマイナス金利導入が、おカネの流れを変えた」とマーケット・ストラテジー・インスティチュート代表、金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は指摘する。

日銀が1月29日にマイナス金利導入を発表して以降、2月の半ばまでに、金現物価格XAU=は一本調子の上昇を続け、1260.60ドルと1年ぶり高値に達した。 

金ETFの最大銘柄「SPDRゴールド・シェアーズ」の残高は、今月19日からの2営業日で38.66トン増加。増加幅は2011年夏に金価格が急騰していた時期以来の規模であり、大型ヘッジファンドなどを含むグローバルな投資マネーの購入が活発化していると、亀井氏はみている。

三井住友銀行・チーフストラテジストの宇野大介氏は、リーマン・ショック以降に日米欧が導入した量的緩和(QE)によって、マネーの価値は希薄化したが、日欧のマイナス金利導入は、マネーに価値が無いだけでなく、コストがかかる可能性をもたらしたと指摘。「パラダイムシフトが起こる中で、マネーの代替物として、かつて価値基準だった金が選好されているのではないか」とみる。

<中央銀行に対する不信>

金価格を押し上げた要因には、地政学リスクもある。足元では、英国の欧州連合(EU)離脱、南シナ海をめぐる緊張、中東紛争、原油安、欧州の難民問題など地政学リスクが目白押し。

「地政学不安とペーパー(金融)資産に対する不安が、金価格の押し上げに寄与している」とグローバル・エコノミストの斎藤満氏は分析する。地政学的不安が高まると金の人気が高まる傾向は、特に中東や欧州で顕著だという。

このため地政学リスクがいったん落ち着けば、金価格は反落する可能性もある。

ゴールドマン・サックスは15日付リポートで「中国の景況、原油価格、マイナス金利に対する懸念が、過度に金価格と他の市場に反映されている公算が大きい」とし、金価格は今後3カ月で1オンス=1100ドルに、12カ月後には1000ドルに下落すると予想した。

しかし、斎藤氏は、今回の金価格の上昇は「一時的や投機的」ではなく、ペーパー資産に対する不安が主因であると指摘する。「不安が継続する限り、普遍的な交換価値を持つ金が逃避先となる」とみる。紙幣に対する不安とは、中央銀行に対する不安とイコールだ。

24日の海外市場で、金現物相場は1オンス=1250ドルを上回り、11日につけた1年ぶりの高値に迫った。金現物は昨年末から既に19%上昇している。

年初からの株安は一服しているものの、楽観ムードがなかなか広がらないマーケットの不安を金価格の上昇は示している。

森佳子 編集:田巻一彦

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