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政府が「新しい資本主義」の実行計画、成長分野への人材移動円滑に

[東京 31日 ロイター] - 政府は31日、成長と分配の好循環を目指す「新しい資本主義」の実行計画を発表した。「人への投資」を重点の一つとし、成長分野への労働移動の円滑化やNISA(少額投資非課税制度)の抜本的な改革を盛り込んだ。

 5月31日、 政府は成長と分配の好循環を目指す「新しい資本主義」の実行計画を発表した。都内で2020年12月撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)

新しい資本主義は、岸田文雄政権の長期的な経済政策。気候変動対応や格差問題、経済安全保障など社会的課題の解決を、新市場創出や経済成長につなげる。

岸田首相は同日、新しい資本主義実現会議であいさつし、今回策定した政策を実行するために「基金等を活用して予算単年度主義の弊害を是正する」と表明。将来にわたる効果も見据えて税制改正も行うと語った。与党と調整を進め、来月上旬の閣議決定を目指すという。

<今年末に「資産所得倍増プラン」策定>

人への投資では、成長分野への円滑な労働移動が可能となるよう、転職やキャリアアップについてコンサルティングを受けられる態勢整備が必要との認識を示した。3年間4000億円規模の施策パッケージで能力開発や再就職、他社への移動を支援する。

個人の金融資産を投資に移行させるため、NISAの抜本的改革も検討する。個人型確定拠出年金(iDeCo)制度の改革などと合わせ、今年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する。このほか、男女間の賃金の差異について開示を義務化。有価証券報告書において人的資本など非財務情報の開示強化も進める。

新しい資本主義では人への投資以外、3つの分野を重点投資の対象に掲げる。そのうち科学技術の分野では、量子、AI(人工知能)、バイオテクノロジーを国益に直結する技術に指定。国家戦略を策定し、官民連携して投資の抜本拡充を図る。

<官民協調で10年間150兆円のGX投資>

気候変動問題は新しい資本主義の実現によって克服すべき最大の課題と位置付ける。脱炭素の取り組みを加速させるため、再生可能エネルギーや原子力など、エネルギー安全保障、脱炭素効果の高い電源を最大限活用するとした。

重点投資の対象の1つであるグリーントランスフォーメーション(GX)では、今後10年間に官民協調で150兆円規模の投資を実現する。政府は、規制・市場設計・政府支援・金融枠組み・インフラ整備等を包括する10年ロードマップを示し、企業投資のための予見可能性を高める。民間投資の「呼び水」とする「GX経済移行債(仮称)」も創設する。

<スタートアップ育成へ5カ年計画>

日本経済のダイナミズムと成長を促すため、スタートアップ育成で5カ年計画を策定する。産業革新投資機構(JIC)や中小企業基盤整備機構などは、国内外のベンチャーキャピタルに対する資金供給を抜本的に拡大。JICの運用期限を2050年に延長する。

新規株式公開(IPO)プロセスの改革を実行するとともに、SPAC(特別買収目的会社)に関しても投資家保護に配慮しつつ検討を進める。

コロナ後に向けて企業の事業再構築を容易にするため、新たな私的整理法制を検討し、早期に国会に提出する。金融商品取引法上の四半期報告書を廃止し、取引所の四半期決算短信に一本化することとし、具体策を年内に検討したうえで関連法案を提出する。

(杉山健太郎、金子かおり編集:青山敦子)

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