May 12, 2014 / 8:33 AM / 5 years ago

インタビュー:増税・株安で経済悪化なら追加緩和を=浜田参与

[東京 12日 ロイター] - 安倍晋三首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は12日、ロイターのインタビューに応じ、市場で期待がくすぶっている日銀の追加緩和について、4月の消費税率引き上げの影響を見極めてからでも遅くないとの認識を示した。

 5月12日、安倍首相の経済ブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は、市場で期待がくすぶる日銀の追加緩和について、4月の消費税率引き上げの影響を見極めてからでも遅くないとの認識を示した。昨年4月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

追加緩和によって日本の景気はさらに良くなるとの見方を示す一方、行き過ぎた金融緩和はインフレ進行を早め、中期的に景気に悪影響を与える可能性があると主張。追加緩和の判断は、景気とインフレの狭間で「微妙な状況」にあると難しさを指摘した。

また、株安を通じて個人消費など実体経済に悪影響が及ぶ懸念が強まる場合には、追加緩和に踏み切るべきと語った。

安倍首相は、2015年10月の消費税率10%への引き上げの是非を今年末まで判断する方針だが、浜田氏は日本の財政状況などを踏まえて「反対ではない」と表明。ただ、経済指標などを最後まで慎重に見極めることが重要とし、判断を来年初まで先送りしてもいいとの見解を示した。

法人税の実効税率は早期の引き下げが重要との見解を示し、政治的に許すのであれば、2015年度の税制改正において20%台に引き下げるべきと語った。

インタビューの概要は以下の通り。

──4月に消費税率が8%に引き上げられた。日本経済への影響は。

「データが揃うまで時間があり、確かなことは言えない。もし、ショックがあまりなかったとすれば、金融政策などでデフレに陥らないような政策をやった上での増税と、97年のように経済政策がうまく行われていない時とは(影響が)随分違う、ということはいえる」 ──以前に増税の影響を軽減するには、日銀の追加緩和が必要と指摘していた。「増税の影響が心配という人は、先取りして金融政策などを打った方がいいという考えだが、私は現実を見た上で、どちらかといえば待って判断してもいいという考え方。必要ならば断固としてやる姿勢が必要だと思う」「追加緩和をやれば日本の景気はもっと良くなると思うが、何カ月後か何年後かに消費者がインフレ的なマインドに変わり、インフレの芽のようなものが早く表れてくる可能性は否定できない」 ──増税の影響が大きくなくても、追加緩和を実施する必要性をどうみるか。 「(追加緩和を見送れば)株式市場に悪影響が出る可能性がある。株価が下がれば、皆が財布のひもを締めるようになり、それで消費など実体経済に陰りが出てくる懸念があれば、(追加緩和を)やらないといけない。やらなければ日本銀行は怠慢ということになる」「今の段階では、少なくとも雇用や生産のトレンドを止めないようにやっていくべきだ。(ここに陰りがでてくれば追加緩和を)やるべきだ」──インフレ進行を警戒すべき局面か。

「生産・所得・消費という実物の動きを示す指標が良くなることが一番重要であり、そこがうまくいっているので比較的安心している。物価は緩やかに上がっているが、インフレの心配は今はまったくない。しかし、現在の1.07倍という有効求人倍率が1.1倍や1.2倍に上昇してくれば、インフレを心配しなければならなくなる」「日本の資産保有者や政策当局は、長い間不況が続いたのでデフレが心配、物価2%が達成できないのが心配というが、国民にとって一番心配なのはインフレ・マインドに転換することだ。景気を良くするためのインフレであり、インフレ自体が欲しいわけではない」──追加緩和がインフレ・リスクを高める可能性をどう考えるか。 「人々のインフレ・マインドに火を付けたいが、あまり強烈に付けると大変なことになる、という面があり、難しい選択だ。もっと緩和して円安にすれば、企業はもっと元気になる。しかし、やり過ぎるとインフレ的なマインドがあれば、インフレが実現してしまう。そのあたりに黒田東彦日銀総裁は苦心しているのではないか。微妙な状況だ」──安倍首相は2015年10月の10%への消費税率引き上げの是非を年末までに判断する。

「日本の財政はいいとは思えないので、消費税を上げても大丈夫であれば上げた方がよい。反対ではない。なぜならば、法人税をこのままにしておくことは、日本経済にとって基本的にマイナスになると考えているためだ」「ただ、(判断は)来年初めまで待って、大丈夫ならやってもいい。財務省のやり方は、既定路線を作って後に引けないと脅しをかける。そういうことに乗らないように、最後までデータを慎重みて考慮することが必要だ」──安倍首相は法人税の実効税率(現行35.64%)引き下げにも意欲を示している。

「高い法人税率は日本への投資を阻害しており、20%台に下げれば、日本全体の資本市場のイメージも変わる。法人税を下げることで所得も増えるはず。政治的に許せば、来年度にも20%台に引き下げるべきだ」

伊藤純夫 金子かおり 編集:田巻一彦

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