[メルボルン 22日 ロイター] - オーストラリアのモリソン首相は22日、新型コロナウイルス対策としてロックダウン(都市封鎖)を実施する戦略はワクチン接種率が70%に達するまで堅持するが、その後はコロナとの「共存」が可能と述べ、感染を完全に抑え込む従来の方針を断念する考えを示した。
22日に確認された新規感染者は914人と、1日当たりの最多を更新した。現在、ニューサウスウェールズ(NSW)およびビクトリアの両州と、首都キャンベラを含む特別地域で厳格なロックダウンが実施されている。
モリソン氏は公共オーストラリア放送協会(ABC)のテレビ番組で「ロックダウンを永遠に続けることはできない。どこかの時点でギアチェンジが必要で、(接種率)70%で行うことになる」と述べた。
コロナのパンデミック(世界的大流行)発生後に採用した「ゼロCOVID(コロナ感染症)」戦略は断念し、市中感染者がゼロになる前に規制を緩和する公算が大きいとの見通しを示した。「ロックダウンはコロナ対処法としては持続可能ではないため、まず70─80%に到達する必要があり、そうなればコロナとの共存が可能になる」と続けた。
オーストラリアの人口約2500万人の約6割が現在、ロックダウンの対象となっている。
NSW州の警察は、過去24時間で保健当局からの指示に違反したとして940件の罰金を科したと発表。NSW州の州都シドニーとビクトリア州の州都メルボルンでは21日に開かれたロックダウンに抗議するデモで数百人が逮捕された。
NSW州では対策が強化されているのにもかかわらず、22日に830人の新規感染者が確認された。ビクトリア州の新規市中感染者は65人に上った。
一方、16歳以上の人口のワクチン接種完了者の割合は約30%にとどまっている。米ファイザーのワクチンが不足しており、英アストラゼネカについては国民の間で懸念があることが背景にある。
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