[シドニー 2日 ロイター] - オーストラリアのモリソン首相は2日、新型コロナウイルスで感染力の強いデルタ株(インド型)の症例増加を受け、入国者数を制限すると発表した。
複数の州都で感染力の強いデルタ株が確認され、国民の半数近くが厳格な自宅待機命令の対象になっている。直近の感染拡大は、隔離者が滞在するホテルが起点とみられている。
豪州は昨年初め、主に非在留者を対象に入国を禁止した。永住許可を持つ人や、帰国した自国民は原則、ホテルで2週間隔離する必要がある。
モリソン首相は閣議後、1週間当たりの入国者数を半分の3000人程度に減らすと述べた。上限引き下げは7月14日までに確定する見込み。ただ一部の州は前倒しで実施できる。
またニューサウスウェールズ(NSW)州などが実施しているロックダウン(都市封鎖)解除後の4段階の活動再開計画で合意したと明らかにした。ワクチン接種状況に応じて段階的に活動再開を認める。接種完了者は、入国時の隔離期間が短縮されるなどの措置が取られる可能性があるという。
NSW州は2日、新型コロナウイルスの新規感染者が今年最多の31人だったと明らかにし、今後数日間に感染者数が増加する可能性があると警告した。
人口の5分の1を占める最大都市シドニーは、2週間のロックダウン(都市封鎖)の半ばにさしかかっている。
2日の新規感染者は現在の感染拡大局面で最多となり、過去2週間強の感染者数は計200人を超えた。
同州のベレジクリアン首相は記者会見で「今後数日間に新規感染者が増加すると見込んでいる」とした上で、来週初めにはロックダウンの効果が表れることを期待していると語った。
クイーンズランド州は、2日から一部地域でロックダウンのルールを緩和すると発表した。ただ、州都ブリスベンと周辺地域は封鎖を1日延長する。
西オーストラリア州のパースと北部準州のダーウィンは現在の自宅待機命令について2日に見直しを行う。
オーストラリアは迅速な接触者追跡や厳しいソーシャルディスタンス規則などが奏功して感染拡大を抑え込んできたが、ワクチン接種が遅れる中、当局者はデルタ株の急速な広がりに警戒を強めている。
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