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アングル:欧州の銀行、お荷物の郊外支店に新たな息吹

[ロンドン/フランクフルト 1日 ロイター] - COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の広がりにより、欧州ではオンラインバンキングへの移行が加速した。だが一方で、これまで実店舗管理のお荷物になってきた郊外店の一部が予想もしなかった新たな役割を担うようになっている。都市中心部にある大規模な本社オフィスへの通勤を嫌うスタッフのために、代替的なオフィスとして活用する動きが出てきたからだ。

9月1日、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の広がりにより、欧州ではオンラインバンキングへの移行が加速した。 写真は3月、英セントオールバンズのバークレイズ支店で撮影(2020年 ロイター/Paul Childs)

金融機関はここ数年、往々にして収益性の低い支店を徐々に減らしてきた。だが、実店舗にアクセスできなくなる社員や利用者が生じることに労組や政治家が反対、多くの金融機関では思ったほど規模を縮小できなかった。

たしかに、クレディスイスやコメルツバンクなど、コストを削減し新型コロナ禍への対応を改善するため、支店閉鎖を加速しようとしている銀行もある。

だが、他の金融機関は方針を変えた。彼らは、実店舗のネットワークの一部を活用し、金融事業を新型コロナによる「新たな現実」に適応しようとしている。

<単なる閉鎖ではなく変革>

銀行界専門の調査会社RBRの共同経営者ダニエル・ドーソン氏は、「銀行は、膨大な数の不採算支店について、単なる閉鎖ではなく、変革を試みることになるだろう」と語る。

英国では、バージン・マネーが、地元在住の本社スタッフが都市中心部のオフィスに通勤せずに働ける拠点として複数の支店を指定していると発表した。またサンタンデールの英国事業部も、同じようなアプローチを模索していると話している。

英国最大の国内銀行であるロイズ・バンキング・グループは、6万人を超える従業員が「いつ、どこで、どのように」働くことができるか確かめるため、10月から「実験」を開始すると話している。

複数の銀行を顧客とする不動産コンサルタント会社アルカディスのパートナーであるサラジェーン・オズボーン氏は、「特に冬季におけるスタッフの働き方について、(銀行内で)多くの議論が行われている。通勤先として支店の方がより安全な環境だということになれば、支店ネットワークは実に重要な役割を果たす可能性が出てくる」と語る。

<オンライン化で急減する支店数>

欧州銀行連盟によれば、欧州連合内の銀行の支店数は、2008年の約23万8000店から2018年末の時点では17万4000店に減少した。

この減少は今後も続く可能性が高い。銀行業界における避けがたいトレンドとして、顧客はますますオンラインへと移行しており、その流れはパンデミック(世界的大流行)のなかで加速する一方である。

だが一部の金融機関にとって、パンデミックが課した新たな挑戦は、思案をめぐらす猶予も与えている。

グッドボディで銀行担当アナリストを務めるジョン・クローニン氏は、「COVID-19は、特に支店に新たな生命を吹き込んでいるように思う」と語る。同氏によれば、英国内の複数の銀行が、本社スタッフに支店を拠点として働くことを認める方向で検討しているという。

消費者団体のデータによれば、英国では銀行各行が今年これまでに約265カ所の支店を閉鎖する計画を公表しているが、これはピークだった2017年の868カ所に比べればかなり少ない。

支店業務を変革しようという動きもある。たとえばスペインのサバデル銀行傘下にあるTSBは、窓口業務を行う一般職員を段階的に減らし、代わりにアドバイザリー業務を強化しているが、RBRのドーソン氏の予想では、他行もこの例に倣う可能性があるという。

「基本的な取引業務が減れば、支店スタッフはアドバイスや販売など、銀行にとってもっと収益性の高いことに集中できるようになる」とドーソン氏は言い、銀行は、顧客による多額の現金の引き出しやデビットカードの交換を可能とするような自動処理やビデオによるサービスを強化することもできるとしている。

<ドイツの「未来型支店」>

ドイツでは、地方金融機関のフォルクスバンク・シュツットガルトが、8カ所の支店(全体の約10分の1)について業務目的の転換を計画している。半数はアドバイザリー業務のみの提供、残りは職員を置かないセルフサービス拠点となる。

同行のマイケル・フッパート役員は、「顧客の行動は変化しており、銀行も変わりつつあることは公然の秘密になっている」と語る。

ドイツ北部のオルデンブルギッシュ・ランデスバンクは、顧客サポート業務の広域統合計画を加速するとともに、小規模な支店をセルフサービス施設に転換するか閉鎖している。

同銀の監査役会に名を連ねるスベニャマリー・グニダ氏は、「いくつかの支店に関しては、転換のタイミングという点で、新型コロナによるパンデミックによる影響があった」と話す。

9月、同銀はオルデンブルグに新たなアドバイザリー業務拠点を開設した。ここには、ビデオ及び電話会議、アプリやオンライン経由でのサービスに向けた数百名のスタッフが配置される。

ZEBコンサルティングのアンドレ・ハスケン氏は、今回のパンデミックによって、金融機関各社は、大半の業務を支店からなくす方法を集中的に検討するようになったと話している。

「銀行は基本的に、将来の支店をどのように設計していきたいかを自問している」と同氏は言う。

(翻訳:エァクレーレン)

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