[ブラジリア/リオデジャネイロ 4日 ロイター] - ブラジル政府は4日、インドで生産される英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンを輸入する計画について、インドが輸出を制限する可能性が浮上したのを受けて、ワクチン確保に向け同国への働き掛けを加速させた。
ブラジルは当初、アストラゼネカと英オックスフォード大学が共同開発したコロナワクチンの原液を輸入して国内で容器などに詰め、製品化する計画だった。だが、コロナ死者が20万人に迫る中で政府の遅い対応に批判が出ており、既にワクチン接種が始まっている近隣国のチリやアルゼンチンに続こうと躍起になっている。
ブラジルの国家衛生監督庁(ANVISA)は12月31日、インドで製品化されたアストラゼネカのワクチン200万回分を輸入する計画を承認した。しかし、インド国内で生産を担うセラム・インスティテュート・オブ・インディア(SII)の最高経営責任者(CEO)は3日、ロイターに対し、インド政府がコロナワクチンの輸出を制限する見込みだと語った。
ブラジル政府はこの発言を受けて危機感を強めており、事情に詳しい関係者らによると、外交当局者はインドから、ブラジル向けの輸出は制限されないとの確約を取り付けようとしているという。
ある当局者は、ブラジル政府はいかなる障害も外交的な取り組みによって取り除くことが可能で、インドからワクチンが輸入できると楽観視していると述べた。
一方、民間部門のクリニックが加盟するブラジルワクチンクリニック協会(ABCVAC)は、インド企業のバーラト・バイオテックが開発したコロナワクチンを500万回分購入する計画を発表。インドの医薬品規制当局は3日、アストラゼネカ・オックスフォード大のワクチンとバーラトのワクチンについて緊急使用を許可したばかり。
バーラトはブラジルのANVISAへの販売許可申請をまだ行っていない。ANVISAはこの日、バーラトのワクチンについて、ブラジル国内で後期治験を実施する必要があるとの見解を示した。
ABCVACのトップは、バーラトとは既に覚書を交わしたと明かし「ブラジルの民間市場で、利用可能になる最初のワクチンになるだろう」と予想。同ワクチンがブラジルに到着するのは3月半ばになる見込みで、ブラジル当局の承認が下りてから民間のクリニックによって販売されるとした。
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