[ロンドン 8日 ロイター] - 英国のスナク財務相は8日、新型コロナウイルス流行による企業の人員削減が本格的な雇用危機に発展するのを回避するため、追加の財政支援策を発表する見通し。20億ポンドを投じて若年層の臨時職を創出するなどの措置が含まれる。
英政府は既に民間部門雇用者の3分の1強に当たる900万人の雇用を支える措置を打ち出しており、他の緊急対応策も影響し、今年度の財政赤字は戦時の水準に拡大する見通し。
ゴールドマン・サックス出身のスナク氏(40)は2月に就任したばかりだが、与党・保守党の市場原理主義を横に置き、コロナ対応で政府が主導権を発揮する形を作ったとして称賛を受けている。
ただ、国内では大衆紙デーリー・ミラーの出版社RCH.Lから航空エンジンのロールスロイスRR.Lに至るまで、人員削減を発表する企業が相次いでおり、社会保障料負担引き下げなどの追加支援策を求める声が高まっている。
スナク氏は8日に議会で、16─24歳の失業者向けに就業体験型の臨時職を創出する20億ポンド規模の措置や政府が一部資金を出しているインターンシップ枠の大幅拡大を打ち出す見通し。発表は1130GMT(日本時間午後8時30分)に見込まれている。
スナク氏は「大抵の経済危機で影響をもろに受けるのは若者で、今回は特に大きな脅威にさらされている。新型コロナ流行で不相応なほどに大きな打撃を受けている部門で働いているからだ」と指摘。
シンクタンクのレゾリューション・ファンデーションは今回の支援策で最大30万人の若者の雇用が創出される可能性があると見込む。
これとは別に、スナク氏はこれまで、住宅や公共の建物のエネルギー効率を高めるために30億ポンドを投じる考えを示しており、10万人超の雇用支援につながるとみられる。
報道によると、スナク氏は付加価値税の減税、あるいは、レストランなどの接客業向けの支出を促すための助成券の配布を検討しているという。
さらに、不動産取得税の引き下げも表明するとみられる。
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