[23日 ロイター] - 封鎖措置(ロックダウン)で家から出られない世界各地の子どもたちが、いま最もやりたいこと、恋しいものを絵に描いた。彼らが絵にしたのは学校、友人、祖父母、サッカー、緑の広場。世界のどこであろうと、テーマはほぼ一緒だ。
東京からブエノスアイレス、ニューヨーク、カトマンズまで、子どもたちは自分の絵を持ってバルコニー、あるいは軒先に出てロイターのカメラマンに見せてくれた。
おじいちゃん、おばあちゃんに会いたい──そう話すのは、東京に住む松井伶玖君。8歳の伶玖君は、祖父母の間に立って一緒に笑っている絵を描いた。12歳になる姉の弥々さんが描いたのは自分と友達だ。 「いまいちばんやりたいことは、友達と遊ぶこと」と、弥々さんは話した。
ドイツのボン近郊の町バートホンネフでは、6歳のトム君が絵の内容を説明してくれた。「おばあちゃんとおじいちゃんの家の絵を描いた。とても会いたいから」。
恋しい祖父、祖母に加えて、子どもたちは遊びたいスポーツも描いている。
ハンガリーの首都ブダペストに住む8歳のイバン・ポスタ君と11歳のビンス君兄弟は、大きなサッカーボールを絵にした。「庭には木や植え込みがあってサッカーができない。だからボールの絵を描いた」と、ビンス君は話した。
6000キロ以上離れたナイジェリアの町ラゴスでも、11歳のオラトゥンジ・アデバヨ君が同じく巨大なサッカーボールを描いていた。「封鎖される前のように、友達とサッカーをしたい。町の封鎖は悲しい」。
花や森といった緑に囲まれた空間を描く子も多かった。
ニューヨークのブルックリンに住む13歳のジェーン・ハッセブロークさんは、「地元の公園を描いた。学校や家から離れて友達と遊び、ただ楽しむことができる場所だから」と話した。
「ニューヨークに住んでいる私にとって、ロックダウンは閉じ込められている感じがとても強い。周りにたくさんの人がいるこの場所では、社会的な距離を取るのが難しい」。
14歳のサンディティ・イレペルマさんは、スリランカのコロンボに住んでいる。彼女が描いたのは、マスクを着け、右下の隅に一人で座る女の子。上のほうでは、巻きスカートをはいた女性たちが踊り、楽しんでいる。
「ロックダウンが始まる前は、楽しくて創造的なものを描いていた。でも今は、いちばんやりたいことを描いている。自分が感じていることを絵にした。私は一人っ子なので、本当にさびしい」と、彼女は話した。
中には、新型コロナウイルスを題材にする子どももいた。
タイのサムットプラーカーン県に住むニプーン・キットクレイラード君(10)は、世界に侵入してくるモンスターとしてウイルスを描いた。そこでは医療従事者や手の消毒ジェルやマスクなどがウイルスを阻止している。
新型コロナウイルスの震源地となり、封鎖が最初に解除された中国では、北京に住む11歳のリ・コンチェン君が複雑な絵を描いた。「コウモリ飛行機」に乗ってやって来るウイルスに対し、人々が命をかけて立ち向かう。そして最後は「ワクチン銃」で打ち負かす、というものだ。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」