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アングル:中国ゼロコロナ発の生産物流停滞、世界の供給網に波及

[上海 13日 ロイター] - 中国当局が「ゼロコロナ政策」の名の下で早急に新型コロナウイルスの感染を封じ込めようとする動きが、高速道路および港湾の渋滞、数え切れないほどの工場の操業停止につながっている。

 4月13日、中国当局が「ゼロコロナ政策」の名の下で早急に新型コロナウイルスの感染を封じ込めようとする動きが、高速道路および港湾の渋滞、数え切れないほどの工場の操業停止につながっている。写真は感染拡大を抑制するため、通行が制限された高速道路。3月28日、上海で撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

こうした混乱は、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」から電気自動車(EV)まで、さまざまな工業製品が絡む世界中のサプライチェーン(供給網)に波及しつつある。

一部の工場経営者は、従業員を外界と遮断する「クローズド・ループ」式の運営方法を駆使して何とか乗り切ろうとしているものの、操業継続は日に日に困難になってきたとの泣き言も聞かれる。感染力の強いオミクロン株の拡大を抑えるため、各地域で講じられた規制措置の厳しさゆえに、原材料の調達や製品出荷がままならないからだ。

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で、データ送信機器やコネクタなどを製造している鴻騰精密科技は、上海に接する昆山にある工場で、このクローズド・ループ式の操業を続けている。ただ、事情に詳しい関係者によると、稼働率は頑張って60%がやっとだという。

同社は、コメント要請に応じなかった。

13日には、30社を超える台湾企業(その多くは電気機器の部品メーカ-)が中国東部で実施されている感染防止対策のため、少なくとも来週まで生産を停止したと明らかにした。

ドイツ自動車部品大手ボッシュは12日、上海と長春の稼働を停止するとともに、他の中国の2工場はクローズド・ループ式を導入したと表明。この日はアップルのサプライヤーである和碩聯合科技(ペガトロン)も上海と昆山の操業を止めた。

建材用チタン亜鉛合金板を手掛けるドイツのメーカー、ラインジンクのスベン・アグテン・アジア太平洋地区最高経営責任者(CEO)は、上海にある同社の倉庫と製造施設について、いくつかの物流問題があるのでクローズド・ループ式の操業は機能しないと語った。4月中と場合によっては5月も、生産量がゼロになると予想している。

アグテン氏は、ロイターに「倉庫と製造施設を動かすには誰かが必要で、われわれはトラックと運転手を確保しなければならない。これらは2つの大事な要素だが、両方とも手に入らない」と説明した。

当局は、感染経路の切断に熱を上げている。つまり、地域単位の規制措置は感染者が非常に多い上海や吉林省以外の広範囲に及ぶことを意味する。ガベカル・ドラゴノミクスが7日公表した調査によると、総生産上位100都市のうち、これまでに87都市で住民に対する何らかの隔離規制が実施されている。

さらに新興EVメーカーの上海蔚来汽車(NIO)は9日、合肥の工場で生産を止めたと発表した。合肥は規制措置を全く導入していないものの、他の地域のサプライヤーが操業を停止したことが原因という。

<トラック運転手の憂うつ>

特にひどく痛手を受けているのはトラック輸送だ。道路には動けなくなった多数のトラックが並び、配送に遅れが生じているほか、トラック運賃の上昇をもたらしている。トラック会社の幹部は、山東省から上海までの通常予約運賃が以前の7000元(1100ドル)から4倍以上の3万元に跳ね上がったと話した。

この幹部は「当社は過去2週間、上海近辺で利用できるトラックを見つけるのが極めて難しくなった。多くの運転手は高速道路上で立ち往生しているか、各都市のロックダウン(都市封鎖)に巻き込まれているからだ」と打ち明ける。困り果てた結果、業務継続のために下請けの発注をしているところだと付け加えた。

物流の一大拠点である徐州は8日、到着したトラック運転手に対して48時間以内にPCR検査の陰性証明を提出するとともに、すぐにまた検査を受けることを義務化する措置を開始した。この間、運転手はトラックから出られない。

上海などに荷物を運んだ運転手は、彼らのスマホの健康コードが自動的に「通行不可」を表示してしまうため、高速道路で身動きが取れなくなっている。国営メディアは先週、上海に立ち寄った運転手がその後7日間、自分のトラックで寝泊まりしていたと伝えた。

<世界に波及する懸念>

外国の企業団体は、とりわけ声高に懸念を訴えている。中国に進出した欧州企業で構成する在中国欧州連合(EU)商工会議所は、中国政府に書簡を送り、当地のドイツ企業の約半分がサプライチェーンを巡る問題に見舞われていると苦境を訴えた。

中国当局は、港湾と空港の終日稼働や、クローズド・ループ式操業の推奨を通じて、感染防止の規制がもたらす負の影響を和らげようとしている。

だが、コンテナ取扱量世界最大の上海港に入るのを待つ貨物船の数は、4月初めから2倍以上に増え、足元では118隻になったことが、リフィニティブのデータから分かる。1年前に比べると3倍近くに上る。

デンマークの海運大手マースクは11日、混み合っている上海を避けて中国の別の港に向かうよう顧客に勧告した。

こうした混乱を受け、エコノミストは中国の今年の成長率予想を引き下げており、中国政府が目標とする5.5%前後の達成は難しさが増してきた。INGは先週、今年の予想を4.8%から4.6%に下方修正した。

その上でINGの中国チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は13日、中国の新型コロナ危機は世界各国の成長率に影響を及ぼしかねないと警告し「中国の問題は、世界経済にとっての問題になり得る」と主張した。

広東省で刺しゅう製品と衣料を製造する工場を経営するチェンさんは、3月終盤以降、注文の約70─80%を出荷できないと話した。取引先が受け取り不可になっているからだ。

「現状は、新型コロナウイルス自体よりも、感染防止対策がもたらす打撃の方がはるかに大きい」と嘆いている。

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