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アングル:都市封鎖で食品ロス減少、「節約習慣」が環境対策に

[シカゴ/ロンドン 18日 ロイター] - 米ミシガン州デトロイトに住むクリント・パリーさん(33)は、新型コロナウイルスの感染防止で実施されたロックダウン(封鎖)の間、手っ取り早く料理の材料になるような物が台所の戸棚や冷蔵庫に残っていないか、料理に足りない食材が実はあったりしないか、くまなく探すのが日課だった。

 8月18日、米ミシガン州デトロイトに住むクリント・パリーさん(33、写真)は、新型コロナウイルスの感染防止で実施されたロックダウン(封鎖)の間、手っ取り早く料理の材料になるような物が台所の戸棚や冷蔵庫に残っていないか、くまなく探すのが日課だった。7月30日、ミシガン州で撮影。提供写真(2020年 ロイター/Amanda Parry/Handout via REUTERS)

パリーさんをはじめ多くの人が新型コロナのパンデミックを通じて身に付けたのが、節約と食品廃棄回避の精神だ。結果として、食品ロスが減少する効果が生まれている。専門家は、こうした新しい生活習慣が長続きすれば、コロナと並ぶもう1つの世界的危機、つまり気候変動の対策上、大きなプラスになると期待している。

ミシガン州のレゴランドでブロック遊びや作り方の講師として働く既婚者のパリーさんは「僕の家は本当に、食材の残りを全て活用している。これまでは外出時に持って行くのを忘れて、ランチにファストフードを食べてしまったというだけの理由で、簡単に食品を捨てていたのに」と話す。

国連食糧農業機関(FAO)は、世界の食品破棄率が年3分の1に上ると試算する。捨てられていくだけの食品を提供するため、森林が伐採され、燃料やパッケージ用資源が消費されていく。一方、地中で腐っていく食品は、より多くの温室効果ガスを大気に排出してしまう。これにより、世界の温室効果ガス排出量の約8%を食品ロスが占める形になっている。排出規模としては道路輸送とほぼ同じだ。

オランダ・ワーゲニンゲン大学で持続可能な食物連鎖のためのプログラム運営管理者を務めるトイネ・ティメルマンス氏は「次なる危機は気候変動危機になる。消費者としてできる最善の対策は、食品ロスを減らすことだ」と訴える。

実際、英国では、ロックダウンの序盤だった4月に食品ロスが大きく減少した。環境保護団体で各国政府と協力して食品ロス問題に取り組んでいるWRAPグローバルの聞き取り調査によると、パン、鶏肉、牛乳、ジャガイモの英主要4品目の食品廃棄率はわずか14%だった。6月の廃棄率は18%に上がったものの、引き続きロックダウン前平均の24%よりずっと低い。

WRAPグローバルのディレクター、リチャード・スワネル氏は「ロックダウン解除とともに食品ロスが増えているとはいえ、7割の人が新しく身に付けた食品管理のやり方を長く維持したいと考えているのは朗報だ。人々がこれを機会に、ロックダウン後も食べ物を無駄に捨てない習慣を続けていこうとしている心強い材料と言える」と述べた。

<創意工夫>

パンデミック中は、食の確保がずっと大きな関心を集めてきた。消費者は主要食品の買いだめに走り、出稼ぎ労働者は必死に畑にたどり着こうとし、食肉工場は閉鎖され、飲食店の閉鎖で出荷先を失った農産物はいたずらに朽ち果ててしまった。

そうした中で家庭の食品廃棄が減ったのは明るい要素だ。

専門家の分析では、消費者は必要に迫られて献立をきちんと考えながら食材の購入ややり繰りをするようになり、料理の腕が磨かれ、買い物に行く前に戸棚や冷蔵庫を点検したりして食材の残りを上手に利用するようになった。

全米で食品ロスを減らす活動をしている非営利団体ReFEDのエグゼクティブディレクター、ダナ・ガンダース氏は「パンデミック期間に人々は、前もって計画を練ることを強いられた。なぜなら以前ほど頻繁に買い物に行けなくなったからだ。自宅で自分たちでもっと料理せざるを得なくなり、料理の腕も上げざるを得なかった」と説明する。

同氏によると、米国では4人家族が1年間に約1800ドル相当もの食品を廃棄しているとみられるだけに、パンデミックがもたらした経済と雇用の危機の中で「節約は価値ある生活習慣だ」と証明されるのではないかという。

<もったいない精神>

ドイツの食料・農業省が実施した調査によると、消費者はコロナ危機をきっかけに食品ロスへの関心を深め始めたもようだ。

同国政府はコロナ危機前から、食品ロス防止のための「捨てるのはもったいない」キャンペーンを展開。国民に販売有効期限を迎えた食品を自動的に廃棄するのをやめて、まだ使えるかもしれないと実際に味やにおいで品質を確認してほしいと呼び掛けていた。

その甲斐あって、食料・農業省の調査では、91%の消費者が今回、販売有効期限後の食品を自分でチェックして判断するようにしていると回答した。2016年に行った同様の調査では、この比率は76%だった。

食品ロスは家庭に限った話ではないが、多くの国では家庭からの廃棄が一番多い。欧州連合(EU)の調査に基づくと、食品ロスの53%は家庭から、11%が生産段階から、残りは加工や販売の段階からとなっている。

中国では今月、習近平国家主席が食品ロスの大きさに「ショックを受けた」と発言すると、多くの地方政府が同氏の意向を受ける形で食品節約運動に乗り出した。

デトロイトのパリーさんも他の多くの消費者と同じく、節約習慣を継続しようとしている。「わが家の食費が減ったのは間違いない。まだ全然使える食材の残りが冷蔵庫にある場合は、買い物に行かなくなっているから」という。

(Christopher Walljasper記者、Nigel Hunt記者)

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