for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:コロナで苦闘の金融政策当局、今年はつかの間の休息

[バンコク 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 誰でも休息は必要だ。昨年新型コロナのパンデミックによる景気悪化を食い止めるため悪戦苦闘した世界中の金融政策当局者は今年、一息ついている。しかし来年、コロナ禍から抜け出す「パンデグジット(PANDEXIT)」の局面に入ると、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長ら各国の当局者は新たな試練に直面する。

 6月30日、新型コロナのパンデミックによる景気悪化を食い止めるため悪戦苦闘した世界中の金融政策当局者は今年、一息ついている。しかし来年、コロナ禍から抜け出す「パンデグジット(PANDEXIT)」の局面に入ると、各国の当局者は新たな試練に直面する。写真は2020年5月、オランダのアルンヘムにあるマクドナルドの店舗で、社会低距離を取るよう促すサイン(2021年 ロイター/Piroschka van de Wouw)

パンデグジットは、国際決済銀行(BIS)が29日に公表した報告書で使った新たな造語。今のところ経済はおおむね足並みをそろえて回復している。一方、各国の財務相や中央銀行当局者は今の景気回復を守るため景気刺激策の提供を続けたいと望んでおり、向かっている方向も同じだ。政府債務の対国内総生産(GDP)比が第2次世界大戦後とほぼ同じか、場合によってはそれを上回っているにもかかわらず、超低金利のおかげで債務返済コストは記録的に低い。

BISが先進国19カ国と新興国5カ国の発行済み国債に適用されている足元の市場金利に基づいて算出した名目債務返済コストを使うと、ずっと劇的な様相が浮かび上がる。BISが29日公表した年次報告書によると、中央値で見た2020年の発行済み国債の金利は0%、対GDP比の債務返済コストは0%。対GDP比の債務返済コストの中間値は19年が0.1%前後で、10年は1.5%だった。

居心地の良い状態がずっと続くことはない。一つには、BISによるとコロナ禍からの回復ではセクターや国ごとにばらつきが出そうだ。来年以降、政策上の選択肢ははるかに分かりにくくなるだろう。英国のスナク財務相やフランスのルメール財務相などは、財政赤字と債務の圧縮を迫られ、公的支援を受け続ける産業や企業があるとすれば、ふるい分けをしなければならなくなる。

また、英イングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁やパウエルFRB議長ら中銀総裁は、景気の過熱とインフレを抑えるために金融政策を引き締める必要が生じ、そうなれば必然的に政府の借り入れコストは上昇する。BISによるとインフレが抑制されていた1990年代半ばの水準に金利が戻ると、債務返済コストの中央値は第2次世界大戦中のピークを上回るという。金利が小幅上昇しただけでも、財務相への圧力が高まり、国家の予算計画は大きく狂うだろう。

BISは、財政と金融政策に安全なのりしろを作ることができなければ、経済は予想外の出来事や回避不可能な将来の景気後退に対して、脆弱な状態に置かれると警鐘を鳴らしている。こうした課題への取り組みがコロナ流行の年の英雄的な働きほど多くの賞賛を勝ち得ることはないだろう。しかしそれが重要なことに変わりはない。

●背景となるニュース

*国際決済銀行(BIS)は29日公表した報告書で世界のコロナ禍からの回復について、一部の国やセクターはペースが速いが、遅れるところも出るなど今後も一様ではなく、金融市場ではボラティリティーが頻繁に高まりそうだとの見解を示した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up