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コラム

コラム:イエレン氏推す法人税の国際最低税率、壁は米議会

[ワシントン 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - イエレン米財務長官は、各国の多年の法人税引き下げ競争を終わらせ、20カ国・地域(G20)で協力して共通の最低税率を設ける国際的な取り組みに乗り込んだ形だ。イエレン氏は、これが大半の経済大国にとって理にかなった目標であることを理解している。ただ、国際的な協定を合意に至らせるのは困難な仕事だ。税率の問題は今の米議会にも荷が重すぎる課題かもしれない。

 4月6日、イエレン米財務長官は、各国の多年の法人税引き下げ競争を終わらせ、20カ国・地域(G20)で協力して共通の最低税率を設ける国際的な取り組みに乗り込んだ形だ。ホワイトハウスで2月撮影(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

民間の税制調査機関タックス・ファウンデーションによると、1980年以降、各国の法人税の平均法定税率は世界のあちこちで着実に引き下げられてきた。税収が脅かされている政府は特に、IT企業が無形資産とそれに関連する利益を移転することに不満を募らせてきた。フェイスブックなどの企業は米国などで、より高い税金を払うことになるのを避けるため、法人税率12.5%のアイルランドなどに拠点を設立している。

経済協力開発機構(OECD)は各国が単独で手を打つのをただ見守るのではなく、加盟37カ国共通の最低税率を設けようと議論を進めてきた。イエレン氏がこの構想への支持を打ち出したタイミングは、米国にとって絶妙な局面にも当たる。

バイデン大統領は2兆ドル規模のインフラ計画を推進中で、その費用を賄うため連邦法人税率を現行の21%から28%に引き上げることを提案。これは2018年に大半が発効したトランプ前大統領の減税策を一部逆転させるものだ。連邦法人税率の引き上げが実現すれば、米国の法人税率は名目上、多くの西側諸国を上回ることになる。さらにバイデン氏の青写真は、米企業が国外の特許や商標といった資産から得る利益への最低税率を、現行の10%前後から21%に引き上げる案も盛り込んでいる。

こうしたことを国際的な取り決めに一体化させること自体は、大きな跳躍には見えないかもしれない。しかし問題は、米国の税制は米議会が決めるということにある。上院の100議席は民主、共和両党が50議席ずつと2分している。採決の際、民主党のハリス副大統領が決定票を投じることができるが、それは少なくとも民主党の上院議員全員が賛成票を投じた場合だけだ。

大半の共和党議員は税率引き上げに反対しており、民主党でもジョー・マンチン上院議員のような穏健派は増税を抑制したい意向だ。同議員は法人税率の上限を28%ではなく25%にすべきだとの考えを打ち出している。ビジネス・ラウンドテーブルなどの米ロビー団体も、世界共通の最低税率導入に懸念を表明した。

下院ではアルシー・ヘイスティングス議員が6日に死去したことで、多数派の民主党と、共和党の議席差が縮まった。民主党側が下院で法案を通すには、間もなく造反議員は2人までしか許されなくなる事態にもなる。そうなるとバイデン氏には闘うテーマを慎重に選ぶ必要が出てくるが、税制を巡る国際的な取り決めのようなものは、そこから外れるかもしれない。

●背景となるニュース

*イエレン米財務長官は5日、法人税率を競って引き下げる多年の「競走」を終わらせるため、G20で協力して国際的に共通の法人最低税率を導入することを提案した。折しもバイデン大統領は2兆ドル規模のインフラ計画案を推進中で、これに伴い法人税率を現行の21%から28%に引き上げることを提案している。提案には、米企業の海外利益に対する実効最低税率を21%に引き上げることも盛り込まれている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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