[23日 ロイター] - 米ニューヨーク市近郊で、ひと昔前の遺物として忘れられかけていたドライブインシアターの人気が復活している。車に乗ったまま映画鑑賞ができるスタイルが、新型コロナウイルス禍の中で見直されているためだ。
マンハッタンから車で約1時間の「ワーウィック・ドライブイン」。経営するベス・ウィルソンさんによると、営業再開が許可された5月15日以降、チケットは売り切れの状態が続いている。自宅でのテレビ視聴に飽きた消費者が他の娯楽を求め、ちょっと出かけたいと考えているからだという。
他者との接触を減らすことができ、屋内よりも感染リスクが低いドライブインシアターは、新型ウイルスと共存しなくてはならない時代にまさにおあつらえ向きと言える。
NY州アメニアにある「フォー・ブラザーズ・ドライブイン」では、車間距離を確保するため受け入れ台数を半分にした。メモリアルデーの週末のチケットは売り切れで、新規顧客も増えた。
全盛期に比べ客数は90%減となっていたが、危機をばねとして復活を図る。全米のみならず、英国やアイルランドからシアター建設の問い合わせも受けているという。
他業種が参入をうかがう動きもある。ニューヨーク市クイーンズ区のレストラン、ベル・エア・ダイナーでは、駐車場にスクリーンを設置して「ムービーナイト」を企画。車中の観客に食事を届けるサービスを提供している。
ヤンキースタジアムの駐車場に「究極のドライブイン」を設営する計画も進行中だ。7月4日の独立記念日を皮切りに、ほぼ毎晩、食事やショー、映画などを提供する予定。「無から何かを生み出し」(企画者)、ニューヨーク市の活性化を目指すという。
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