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アングル:ヘッジファンドが保険株に回帰、コロナ禍で料率高騰

[ロンドン 7日 ロイター] - ヘッジファンドが相次いで保険株投資に回帰している。保険セクターは新型コロナウイルスの影響で保険料率が急上昇し、「コロナ後」を巡るセクターの見通しが改善したためだ。

10月7日、ヘッジファンドが相次いで保険株投資に回帰している。ロンドンの金融街で9月撮影(2020年 ロイター/Hannah McKay)

保険会社は新型コロナのパンデミック発生で、代金の未払いやイベントのキャンセルなどに伴う保険金支払い請求の急増に直面。一部は不採算の事業から撤退した。しかし踏みとどまった保険会社にとっては、コロナ禍で保険料率が跳ね上がる局面が訪れた。料率の上昇は保険市場の「ハード化」と呼ばれ、大災害の後に起きるのが一般的だ。

大手保険仲介業者マーシュによると、4-6月期の保険料率の前年同期比上昇率は19%と、統計を取り始めた2012年以来で最も高かった。

英ヘッジファンドのトスカファンドは5年前に保険株を売却。しかし保険セクターは最近魅力が高まっており、再び購入に動いている。

パートナーのナイジェル・グリクステン氏は「当社は今年になって保険セクターに戻ってきた。市場の急激なハード化で恩恵を受けると考えられる銘柄のセクター内比重は15%(程度)になっている」と述べた。

<株価なお低迷>

保険市場の見通しの変化はまだ株価に反映されていない。欧州保険株指数.SXIPは年初来の下落率が25%で、09年以来で最も大きい。トスカファンドが運用する株式ロングショートファンドが保有する主要な保険銘柄、ランカシャーLRE.Lとルネッサンス・リーRNR.Nはいずれも株価が5月末の安値付近に低迷し、年初来の下落率は10%を超える。

カッパー・ストリート・キャピタルなどのファンドも保険市場の変化を見込んで投資している。パートナー兼最高投資責任者ジェリー・デル・ミッシアー氏は、最近採用した保険アナリストが今年末に仕事を始めると明かした上で、保険セクターはコロナ禍で「困難とチャンス」が両方とも一気に高まり、それなりのリスクを伴う半面、相応のリターンが期待できると予想した。

<コロナ禍「ニューノーマル」に見合う商品>

新型コロナの流行や気候変動による災害が「ニューノーマル」となる世界では、将来のロックダウン(都市封鎖)や従業員の感染で事業が困難になった場合に役立つ革新的な保険商品が魅力を発揮する、と投資家は考えている。

保険会社は、株価こそ引き続き低迷しているが、高い信用格付け(通常はシングルA格)のおかげで今年の社債発行の大部分は応募超過だ。

英レスコ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アレックス・イベントン氏は、高利回りの制限付きTier1(RT1)劣後債について「当社のようなマクロ投資家にとって興味深い資産クラスだ」と述べた。投資の詳細には触れなかった。

今年RT1社債を発行した保険会社にはアジアスAGES.BR、リーガル・アンド・ジェネラルLGEN.L、フェニックスPHNX.Lなどがある。

一方、保険業界筋によると、ヘッジファンドは大災害のリスクを証券化した「カタストロフィー債(大災害債、CATボンド)」を大量に購入している。

自然災害が発生した際に、CATボンド投資家は返済を受けられない。ただヘッジファンドは同債の高い利回りに惹かれているという。

エーオンによると、今年上半期に世界で発行されたCATボンドは総額65億ドルで、既に2019年全体を20%上回った。

<業界のコロナリスクにめど>

ヘッジファンドのマネジャーによると、保険市場は春の終わりごろには変化し始めていたが、新型コロナのリスクがはっきりしてきたのは最近になってからだ。

米国の複数の裁判所では、新型コロナ流行で事業休止に追い込まれた事業主が、保険金支払い請求を拒否した保険会社に対して起こした訴訟の審理が始まった。英国では、今後控訴審での係争が続くとはいえ判決が出た裁判もあり、新型コロナのリスクがもっと明確になりそうだ。

ヘッジファンドのマネジャーは「今はこうしたリスクについて安心感が強まっただけでなく、具体的に数値化されつつある」と話した。

(Maiya Keidan記者、Carolyn Cohn記者)

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