[フランクフルト 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は26日の理事会で、主要政策金利を予想通り据え置いた。また、年末までに債券買い入れ策を終了させる方針を維持したほか、少なくとも来年夏までは過去最低の金利水準を継続する見通しを示した。
ドラギ総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。
<底堅く裾野の広い成長>
特に世界貿易を巡る環境に関連した先行き不透明感は依然として高いものの、前回の理事会以降に入手された情報から、ユーロ圏経済は底堅く裾野の広い成長軌道に沿って推移していることが示されている。
<構造改革が必要>
弾力性を高め、構造的な失業を減らし、生産性や潜在成長率を伸ばすため、構造改革の実施に注力する必要がある。
<インフレ巡る不透明性は後退中>
インフレ見通しを巡る不透明性は後退しつつある。基調インフレは年末にかけて持ち直し、金融政策や景気拡大の継続、経済的な緩みの吸収、賃金上昇が下支えとなり、中期的には徐々に伸びる見通しだ。
<EU・米の貿易巡る会談>
欧州連合(EU)と米国による貿易を巡る会談を配慮しているが、内容を見極めることは時期尚早だ。これを理由に、欧州委員会がこの日会合を開いていることを理解している。
再び多国間の枠組みの下、貿易問題について協議する意欲が示されたことを踏まえると、良好な兆候と言える。しかし、合意の詳細を十分に把握していないことから、それ以上のことを述べることは困難だ。
<外為相場は目標にせず>
為替相場は成長と物価安定にとって重要だが、政策目標ではないとこれまでも何度か述べてきた。競争的な通貨切り下げを回避することについては、何年にもわたり、さらに何十年にもわたり、国際的なコンセンサスが存在している。
<金利巡る文言の変更はない>
現時点では金利を巡るフォワードガイダンスの文言を調整したり、新たに追加する必要はないとみている。
<インフレは目標水準に収れんへ>
経済は基調的に底堅いことから、インフレの目標水準への持続的収れんは今後も継続し、純資産買い入れの段階的縮小後も保たれると引き続き確信している。
<輸出の減速>
成長の鈍化は主に昨年の第2─4・四半期に見られた異例の高成長に対する反動に由来している。こうした高成長は主に、通常よりも堅調な輸出によるものだった。現在は輸出がこれまでほど強くなく、反動が出ている。
<貿易戦争>
報復の応酬を伴う貿易戦争は、極めて異なる状況を引き起こす。われわれは直接的、間接的双方の影響を見極めていく必要がある。コストが著しく拡大することから、直接的な影響はより重大となる可能性がある。間接的な影響は、とりわけ企業の設備投資に対する信頼感だ。将来の影響について見極める必要がある。