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アングル:中国、手腕未知数の「トランプ米大統領」を歓迎か

[北京 12日 ロイター] - 南シナ海の支配を強める中国は、ヒラリー・クリントン氏の米大統領選での動向を恐怖のまなざしで見守っていることだろう。

 7月12日、南シナ海の支配を強める中国は、ヒラリー・クリントン氏(写真左)の米大統領選での動向を恐怖のまなざしで見守っていることだろう。写真は5月、カリフォルニア州(写真左)とオレゴン州ユージン(写真右)で撮影(2016年 ロイター/Lucy Nicholson/Jim Urquhart)

米大統領選の民主党候補に指名される見通しのクリントン氏は国務長官だった2010年に、南シナ海の問題をアジア地域と米国の安全保障上の最優先課題に掲げ、中国の怒りを誘った。

人権問題に対する強硬路線や、オバマ政権のアジアへの「リバランス」政策における主導的役割からクリントン氏は中国ではよく知られた存在だが、人気はあまりない。

一方、米共和党の候補指名が確実となった実業家のドナルド・トランプ氏は、中国に対する巨額の米貿易赤字を「レイプ」と批判するなどして中国を刺激しているものの、その手腕は未知数だ。

中国の外交筋は、ロイターに対し「クリントン氏は厳しいパートナーになるだろう」と述べる一方、トランプ氏や同氏の政策についてはよく分からないと語った。

中国の外交官らは、クリントン氏のファーストレディー時代や上院議員、国務長官時代を通じ、長年にわたるハイレベルでの交流で同氏の見解を熟知していることに幾分の安心感を抱いている。しかし、外交的な合意を模索する場でさえ、同氏が南シナ海や貿易、人権などさまざまな問題で中国を強く批判してきたことを忘れてはいない。

<強硬姿勢と尊敬>

南シナ海の軍事拠点化を進める中国軍も、米大統領選の行方を注視している。

中国の軍関係者は、ロイターに対し「ヒラリー(クリントン氏)は中国に関して非常に強硬だ」と指摘した。

中国国営の新華社も、5月に論評で「彼女(クリントン氏)としては、外交政策で厳しい姿勢を取ることが米国の『リーダーシップ』を示す最善の方法だろう」との見解を示した。

クリントン陣営の外交政策アドバイザーの1人、ローラ・ローゼンバーガー氏はロイターに対し、クリントン氏が南シナ海問題について強硬姿勢を保つと説明。「中国が取ってきた多くの行動に立ち向かう上で、かなりの強さが必要だと彼女は確信している」と語った。

さらに「(クリントン氏は)国際水域での航行の自由の原則を信じており、公海における通商が米国にとって極めて重要で、擁護し続けるべき直接的な利益であることを確信している」と述べた。

一方、トランプ氏のアドバイザーであるカリフォルニア大学アーバイン校のエコノミスト、ピーター・ナバロ氏は、トランプ氏が大統領になれば、尊敬につながると指摘。

「トランプ政権と現政権あるいはクリントン政権との重要な違いは尊敬だ。ロシアや中国の指導部はトランプ氏、そして米国を尊敬するだろう。なぜならわれわれは経済的、軍事的、かつ政治的に強くなるからだ」と語った。

<未知数>

手腕は未知数と受け止められているとしても、トランプ氏は中国である程度の共感を得る可能性がある。

中国の軍関係者は「トランプとは誰か。われわれはあまり知らない。だが彼がイスラム教徒を嫌っていることは知っている。このことは一部に評価されている」と指摘。中国が「対テロ戦争」とみなす、イスラム教徒が多い西部・新疆ウイグル自治区での暴動に言及した。

中国はまた、トランプ氏のことを交渉可能なビジネスマンとみるかもしれない。

西側の駐中国外交官は、トランプ氏について「彼は、中国が取引をまとめることができる相手とみなすビジネスマンだ」と語った。

トランプ氏はまた、人権問題をめぐっても中国とたびたび衝突してきたクリントン氏より、柔和な姿勢を取る可能性がある。

いずれにしても中国は、誰が米大統領になろうと両国が互いを必要とし、緊密に協力しなければならないことが理解されるよう望んでいる。

中国指導部に近いある関係筋は、ロイターに対し「世界で最も重要な二国間関係だ。中国は米国を必要としており、米国も中国が必要だ」と指摘。その上で「2人の『悪』のうちどちらがましかは分からない」と述べた。

Ben Blanchard記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子

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