[香港 26日 ロイター] - 香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は26日、24日の区議会選で投票率が過去最高を記録し、民主派が圧勝したことについて、政府に対する不満を示していると認めた。また、投票が平和的に行われたことに謝意を示した。
区議会選では、民主派が全議席の9割近くを獲得。投票率は過去最高となった。今回の選挙は行政長官に対する支持を示すバロメーターとみられていた。
民主派が圧勝したことで、何カ月も続く香港のデモに手を焼いていた中国政府には新たな頭痛の種が生まれ、林鄭長官はさらに厳しい局面に立たされつつある。
疲れた様子で会見に臨んだ林鄭長官は、有権者は今回の選挙で「統治における欠如」など多くの課題について自らの意見を示すことを望んだと発言。
週末に暴力行為が見られなかったことについて、選挙が実施されたためではなく、市民が暴力の停止を求めているシグナルであることを期待すると述べた。
長官は「誰もが普段の生活に戻りたいと望んでおり、そのためには1人1人の協力が必要だ」とした上で、「暴力に訴えても道は開けない。だからどうか、香港が平穏を維持し前進するのを助けてほしい」と語った。
ただ専門家は、林鄭長官は中国政府の承認を受けない限り、具体的なことは話さないと指摘する。
香港中文大学の政治学者、馬嶽氏は「いつもと同じで長官の話に中身はない」とし、「大半の人々は引き続き(民主派の)運動を支持しているため、今後については中国政府の対応次第だ。もし、中国側が譲歩の姿勢を見せなければ、抗議活動は当面続くだろう」と語った。
香港の大半の地域で抗議活動が収まる中、香港理工大学には小規模のデモ隊が引き続きとどまり、警察に包囲されている。
林鄭長官はデモ隊に対し、できるだけ早く平和的に退去するよう求めた。
大学当局は50人ほどがまだ構内に潜んでいる可能性があるとしているが、もっと少ないとの見方もある。