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コラム

コラム:香港がSPAC上場認可を検討、裏口上場の苦い記憶は

[香港 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 証券取引所たるもの、ライバルの動向に目を光らせて当然だ。香港取引所もこの精神にのっとろうとしている。ニューヨークの2取引所が特別買収目的会社(SPAC)の上場認可で成功したのをきっかけに、これに追随することを検討しているのだ。ただ香港は、「裏口上場」を抑止するための長い闘いで勝利を収めたばかりだ。一方で、SPACとは、その裏口上場をいわば可能にするために存在する形態だ。香港が長年にわたった論議を再開することの利点は定かでない。

 証券取引所たるもの、ライバルの動向に目を光らせて当然だ。香港取引所もこの精神にのっとろうとしている。ニューヨークの2取引所が特別買収目的会社(SPAC)の上場認可で成功したのをきっかけに、これに追随することを検討しているのだ。2020年9月、同取引所で撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

ディールロジックによると、買収企業を探しまくっているSPACが調達した資金は、年明け以降だけで世界で約660億ドルに上った。SPAC上場ブームに一枚加わろうと目論むのは香港だけではない。ロンドン、そしてアジアでの香港のライバル、シンガポールも計画を練っている。一方、香港の大富豪、李嘉誠氏の息子である李沢楷氏などの当地の大物実業家は、米国でのSPAC設立に取り組んでいる。

香港の直近の裏口上場との闘いでは、数多くの企業が別の企業に買収されるのを前提に上場し、ある時点で中核事業を売却ないし縮小して、その「シェル(抜け殻)」が買収される手口が問題視された。買収した側は新規株式公開(IPO)をせずに上場を実現してしまうからだ。こうしたやり口では、香港のあるナイトクラブ運営企業が中国本土の不動産会社に取って代わられるような事例も可能になった。ある金鉱会社が2016年、事業多角化を名目に採掘地の一つを売却した際には、シェル企業化が狙いだとの懸念が拡大。米資産運用大手ブラックロックが非難の声を上げるという、当時としては異例の事態に発展した。

香港政府が新規制を導入し、裏口上場対策に勝利したのはようやく19年になってからだった。これにより、香港取引所の上場委員会は買収案件にシェル企業化のリスクがあると認めた場合、当該企業に正式なIPOを強制する権限を与えられた。

SPACが香港のこの制度にすんなり溶け込めるとは考えにくい。上場委員会からの承認手続きを回避する手段がない限り、SPACがニューヨークで被買収企業への売り口上としているような、速やかな上場は実現できない。しかも通常のIPOに比べ、必ずしもコストが低いとは限らない。IPOで香港の引受幹事社に支払う手数料は調達総額の約2%で、米金融大手が通常課している手数料率の少なくとも半額相当だ。

ニューヨークでは約10年前、主に中国系の企業が米シェル企業を逆買収し、詐欺的な裏口上場であることが相次ぎ発覚したが、昨今の米国のSPACフィーバーでその痛い記憶も脇に追いやられている。だが香港が裏口上場と格闘したのは、もっと最近の出来事だ。これは地元のSPACファンの記憶にも新しいはずだ。

●背景となるニュース

*香港政府は、ニューヨークのSPACブームを受け、香港取引所でSPACの上場を認める可能性を検討している。

*香港の財務官を座長とする金融リーダー・フォーラムは取引所と規制当局に対し、「国際金融センターとしての香港の競争力を強化するため、適切な上場制度を模索」するよう求めた。1日の声明で明らかになった。

*ディールロジックによると、SPACによる資金調達は年明け以降だけで660億ドルと、昨年1年間の79%相当に達した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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