July 8, 2020 / 6:18 AM / a month ago

コラム:香港に迫る中国のネット検閲、人材流出に拍車も

[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の悪名高い大規模なインターネット検閲システム(グレートファイアーウォール)が、香港の未来に暗い影を落としつつある。中国による政治統制強化のための香港国家安全維持法(国安法)の施行を受け、米国のツイッター(TWTR.N)、グーグル、フェイスブック(FB.O)はいずれも香港当局の要求に基づく利用者データ開示を一時停止した。

7月7日、中国の悪名高い大規模なインターネット検閲システム(グレートファイアーウォール)が、香港の未来に暗い影を落としつつある。写真は8日、香港のホテルに作られた、中国の出先機関「国家安全維持公署」の事務所に掲げられた国章(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

影響はほかにも広がりそうで、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は、数日中に香港市場から撤退することを明らかにした。どの動きも、香港に高い技能を持つ人々を呼び込み、逆にそうした人材の流出を防ごうとする上では、前途の厳しさを物語る。

多くの企業は先週施行された国安法が、事業展開ではプラスになると期待していた。政府トップの林鄭月娥行政長官が、ごく限定的に適用すると示唆していたからだ。

ところが6日に公表された施行細則は、警察に非常に幅広い権限を与えると明記していた。警察は資産凍結や、電子メールや電話などの通信傍受、家宅捜索が可能になる。ほとんどの場合、令状はいらない。また治安を乱すとみなしたコンテンツをプロバイダーに消去するよう強制することもできる。

狙いは、ソーシャルメディアやメッセージングサービス企業に「国家の安全保障を危険にさらす」可能性が高い表現を消去させることだ。国安法では共産党一党独裁体制への反対表明も処罰対象になる。

では例えば、香港の民主活動家で中国側が分離独立主義者と見なす黄之鋒氏のドキュメンタリー番組。これを放映している米ネットフリックスはどうなるのだろうか。国安法は香港の域外にも及ぶという適用範囲に照らせば、ネットフリックスは理論的には、番組を香港はもちろん、米ニュージャージー州で流しても訴追される。米国内の対中強硬派が中国の体制変革を進めようとツイッターを利用するのを同社が許しても、同じことになる。

グーグルやフェイスブックなど、中国本土ではサービスが遮断されているプロバイダーは、香港を本土向け広告営業の足場としてきた。ただそうした足場は移せる。西側諸国から反発を招く危険を冒してまでとどまるには、香港の市場規模はあまりに小さい。

ツイッターは17万件を超える中国系のアカウントを偽物だとして削除したばかりで、香港警察にも屈服しそうにない。林鄭氏は結局、協力をしないソーシャルメディアのアクセスを香港でも遮断するしかなくなるのではないか。

だがそれは香港にとってリスクが大きい。抗議デモの沈静化に伴う社会の安定を歓迎する香港市民でさえ、外国のメディアや通信、エンターテインメントを活発に利用している。中国本土から香港への移住者も事情は変わらない。彼らにとって外国の各種コミュニケーションツールやコンテンツは、本土では手に入らず、香港市民としてなら得られる「特権」だからだ。本土にある代用サービスは内容がつまらないし、もぐりのVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)は接続が安定しない。

専門的な技術を持つ労働者は香港以外のどこでも同等の仕事を見つけられる。自分の家族の不満を和らげる理由で、香港を出て行く公算も大きい。優秀な人材を失った香港は、国際色が薄れて競争力は低下するだろう。

●背景となるニュース

*香港政府は6日、香港国家安全維持法(国安法)の施行細則を公表した。発効は7日。特定の状況において警察は令状なしの家宅捜索や資産凍結、通信傍受ができるほか、インターネットサービスプロバイダーにサイト上の情報やメッセージの削除を強制することも可能になる。協力を拒否した企業の幹部は、機材を押収されたり、罰金を科せられたりする恐れがある。場合によっては収監もあり得る。

*フェイスブック、グーグル、ツイッターは6日、香港政府の要求に基づいて利用者情報を開示することを停止した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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