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コラム

コラム:香港トップ、人材流出問題で「本丸」のコロナ対策素通り

 10月19日、香港の人材流出問題の解決は決して複雑なことではない。写真は同日、施政報告を行う李家超行政長官(2022年 ロイター/Tyrone Siu)

[香港 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 香港の人材流出問題の解決は決して複雑なことではない。香港政府トップの李家超行政長官は、不動産購入時の税負担軽減や年収の多い人や高学歴の人を対象にした新たなビザ制度創設といった政策によって、シンガポールなどへの人材流出に歯止めが掛かることを期待している。しかし今回打ち出したのは断片的な措置の寄せ集めにすぎず、外国人流出の最大の原因で、ますます無意味になっている香港の新型コロナウイルス対策には目をつぶっている。

香港からは新型コロナのパンデミック発生以来、市民と外国人合計で差し引き20万人余りが流出し、その半分以上が今年6月末までの1年間に集中している。その結果、今年半ば時点の香港の人口は前年同期比1.6%減の729万人と、前年比で過去最大の落ち込みとなった。一方、銀行や投資の拠点としてライバル関係にあるシンガポールは同じ期間に人口が3.4%増加した。

当局が懸念を抱くのも無理はない。資産運用大手ブラックロックなどが加盟する「香港投資ファンド協会」が8月に実施した調査によると、海外および地域をカバーする人材の確保と維持が「困難」もしくは「非常に困難」との回答が3分の2に上り、半分以上が他の地域で人員を増やしていると答えた。香港は労働人口が減っており、20─24歳の層は第2・四半期に前年同期比15%と驚くべほどの幅で減少した。

李行政長官は19日の施政報告で、年収が高いか、世界トップ100の大学の卒業生を対象とする、期間2年の新たなビザ制度を発表した。また非居住者が香港の永住権取得後に、香港の不動産を購入する際に支払った印紙税の払い戻しを申請することができる制度も公表した。特定の分野では海外の人材を採用する上で柔軟性が高まり、ビザ更新などの煩雑な手続きも簡略化される。

こうした措置はいずれも、あるに越したことはないが、隅をつついているだけだ。シンガポールからロンドンまで、各地で日常生活や旅行が平常に戻りつつあるが、香港市民は医療専門家でさえ効果がないと言う無数のルールに縛られている。例えば、香港に到着後3日間「自己監視」しなければならない「O+3」隔離措置があるし、レストランでは1つのテーブルの人数が12人、バーでは6人、宴会では240人、ツアー団体では30人とする任意の人数制限が設定されている。屋内と屋外でマスクの着用義務があり、陽性者は強制隔離され、学校やバーなどに行く場合は検査を受ける義務がある。李長官は素通りしているかもしれないが、解決策の「本丸」が何かは明らかだ。

●背景となるニュース

*香港の李家超行政長官は19日、立法会(議会)で施政方針に当たる施政報告を発表した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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