[香港 22日 ロイター] - 香港の陳茂波(ポール・チャン)財政官は22日、2023/24年度予算案を発表した。新型コロナウイルス禍による長引く景気低迷からの回復に向け、消費者に一段の支援を行う方針を打ち出した。
具体的には、全成人を対象に1人当たり5000香港ドル(637米ドル)のクーポンを年内に支給する。歳出抑制に取り組む中、クーポンの額は22年の半分にとどまった。
陳氏は立法会(議会)で、香港にはもはや厳格なコロナ対策の制約はないとし、「香港経済は今年、目に見えて回復すると信じている」と述べた。ただ「景気回復はまだ初期段階で、市民や企業が活力を取り戻す必要がある」とも指摘した。
6000香港ドルを上限に給与税を100%減額する計画も示した。前年度の予算案より上限は低く設定された。陳氏はさらに、人材誘致のため資本投資による入境制度を導入する方針を明らかにした。
香港は過去3年でさまざまなコロナ関連支援策に6000億香港ドル(764億4000万米ドル)以上を支出し、異例の財政赤字に陥っている。
今年の経済成長率は3.5─5.5%と予想した。昨年は3.5%のマイナス成長だった。
<印紙税を「調整」>
政府は、不動産価格が昨年15%以上下落したことを踏まえ、初回の住宅購入者を対象に印紙税を調整すると発表。「一般世帯の負担軽減」を視野に入れ、1000万香港ドル以下の不動産が恩恵を受けられるようにする。
ただ、不動産価格の高騰を受けて過去10年に導入した住宅不動産の需要抑制策は維持する。
今回の措置で恩恵を受ける住宅購入者は3万7000人。財政負担は19億香港ドル。
午後の香港株式市場では、ハンセン不動産指数が一時1.3%上昇。不動産開発大手の新鴻基地産(サンフンカイ・プロパティーズ)は一時3.4%値上がりした。
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