July 20, 2019 / 12:21 AM / 3 months ago

アングル:香港に長い「抗議活動の夏」、デモ今後も拡大か

[香港 18日 ロイター] - 「逃亡犯条例」改正案に抗議する香港のデモは、古傷の痛みを再発させ、政治闘争を拡大させて、はるかに大きくより複雑な運動へと変貌を遂げた。香港が「抗議の夏」を迎えようとしている。

7月18日、逃亡犯条例」改正案に抗議する香港のデモは、古傷の痛みを再発させ、政治闘争を拡大させて、はるかに大きくより複雑な運動へと変貌を遂げた。写真は14日、香港で抗議活動に参加する人々(2019年 ロイター/Tyrone Siu)

デモはほぼ毎日のように発生しているが、ほとんど告知もないことが多い。活動家たちは、香港市内のいわゆる「レノンウォール」に手書きのメモを残すか、「テレグラム」などのメッセージングアプリを使ってデモの趣旨を拡散させているからだ。

こうしたデモは、現在は凍結された逃亡犯条例改正案に対する怒りの行動として始まったが、いまやその要求は、民主主義の拡大、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官の辞任、さらには中国本土からの観光客の締め出しにまで広がっている。

活動家たちと警察の仲裁を試みた労働党の張超雄(フェルナンド・チャン)議員は、「これから先、残念ながらさらに衝突が起きるだろう」と話す。

「抗議行動は続く。夏のあいだ、かなりの規模の抗議が断続的に行われると予想している」と、チャン議員は付け加えた。

17日の「白髪行進」の主催者は、車椅子利用者を含む高齢者を中心とする9000人が、若者たちによる抗議行動を支援するために路上に出たとしている。警察では、参加者は最大でも1500人としている。

元会計士のマーガレット・ユーさん(59)は、「こうした混乱はすべて、政府の失策が招いたものだ」と語る。「大人の1人として、少なくとも、私は立ち上がって、自分たちの政府が以下に不公正であるか声を挙げなければならない」

17日の集会は、このアジアの金融センターを2カ月以上にわたって揺るがしてきた一連の動きの1つだ。香港の混乱は、2012年に中国の習近平国家主席が権力を握って以来、最大の民衆による抗議行動となっている。

林鄭長官は、犯罪容疑者の中国本土送還を可能とする逃亡犯条例改正案は「死に体」であると述べた。だが反対派は、改正案の公式撤回以外はまったく容認できないと主張している。

彼らが心配しているのは、香港市民が、人権の保障されない中国本土の裁判所にいいようにされてしまうことであり、香港で大切にされてきた法の支配が脅かされるとの懸念を口にしている。

抗議参加者たちは、林鄭長官の辞任の他、政府がデモについて使った「暴動」という表現の撤回、逮捕者の無条件釈放、警察による過剰な力の行使に対する苦情に関する第三者調査の実施を要求している。

<抗議活動の連鎖>

次の大規模抗議は21日、活気溢れる商業地区・銅鑼湾(コーズウェイベイ)に近いビクトリア公園から、中環(セントラル)地区にある香港終審法院(最高裁)までデモ行進が行われる予定だ。

この他、金融センターからは港湾を隔てた下町の繁華街・旺角や、将軍澳ニュータウン、香港の最貧地域の1つである深水埗などでも、今後の週末に抗議行動が予定されている。

「旺角などの地区で抗議行動が起きれば、人口密度や犯罪組織(三合会)の存在を考えれば、暴力的衝突の恐れはいっそう高まる」と語るのは、英領時代の王立警察刑事情報局のトップで、現在はリスクコンサルタント会社を経営するスティーブ・ビッカーズ氏。

ビッカーズ氏によれば、「(三合会の構成員は)どちらの側においても扇動者として動くか、単に自分たちの利益を守るための行動を起こす可能性がある」という。

1997年に英国から中国に香港が返還された際の条件によれば、香港では「1国2制度」方式に基づき、司法の独立や抗議の権利など、中国本土にはない広汎な自由の維持が認められるとされていた。

だが香港住民の多くから見れば、逃亡犯条例改正案は、中国本土による支配強化に向けた絶え間ない圧力の最新の一手だった。

行政府に対する根深い怒りにより、小規模なグループによる街頭抗議行動が多数発生し、クラウドファンディングによる資金集めや新聞広告キャンペーンなどの草の根の取組みが始まっている。

<街を埋めるデモ>

6月以来、香港では過去数十年で最大かつ最も暴力的な抗議行動に数百万人が参加した。警察はゴム弾や催涙ガスを発射して活動家らを排除し、抗議参加者は立法会のビルに突入し内部を荒らした。

抗議参加者は「水になれ」戦略を採用している。香港が生んだ伝説の武道家ブルース・リーの名言にヒントを得たもので、柔軟に、形を定めずに動こうという呼びかけだ。

何人かの活動家によれば、これは2014年の民主化運動の際に抗議参加者が79日間にわたって主要道路を占拠したのとは非常に異なるアプローチだという。

香港高等教育学生連合はある声明のなかで、「私たちは最後までやり抜く。街頭で戦い、香港のあらゆる地区で戦い、いかなる犠牲を払おうと、戦いの舞台を身近な場所から国際的な前線へと広げていく。私たちは決して屈服しない」と述べている。

運動の流動性には警察も手を焼いており、抗議参加者と最前線で衝突する警察官を疲弊させ、実力行使で解決できるという自信は危機に瀕している。

抗議行動は数度にわたって、金融街の一部を麻痺させ、政府機関を閉鎖に追い込み、市内での企業活動を混乱させている。

香港の小売企業は、こうした社会不安のために7、8月の売上高が前年比で2桁の減少になると警告しており、観光客数やホテル稼働率も低迷している。

活動家たちは、抗議行動への支持に乗じて、11月の選挙における野党民主派の勝算を高めようとしている。法案否決のために必要な議席を体制派のライバル政党から奪い返すのが狙いだ。

世論調査の経験豊富なロバート・チュン氏は、「明らかに、抗議行動の熱気を維持することを望む政治勢力は存在する。それが一部の人々にとって、抗議参加者を動員し、モチベーションを与える原動力になっている」と語る。

レジーナ・イップ議員は15日、英字紙サウスチャイナ・モーニングポストに宛てた書簡のなかで、抗議活動は全18地区で11月末の選挙まで続く可能性が高いと述べている。

さらに長期的な構えを見せる人もいる。

「私たちがいま経験しているのは、永遠に続く戦いだ」と語るのは、2014年の民主化運動の指導者の1人、ジョシュア・ウォン氏。「でも私は楽観的だ」

(Anne Marie Roantree記者、Felix Tam記者、翻訳:エァクレーレン)

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