[シンガポール 24日 ロイター] - 著名投資家のビル・アックマン氏は、香港ドルの一段安を見込んでおり、香港ドルを米ドルの値動きに一定範囲内で連動させるペッグ制の崩壊は時間の問題との見方を示した。
「プットオプション(売る権利)保有を通じて香港ドルのかなりの規模のショートポジション(売り持ち高)がある」とし、「ペッグ制は香港ドルにとってもはや理にかなっていない」と述べた。
香港は40年近く香港ドルを1米ドル=7.75─7.85香港ドルの範囲に抑える「ドルペッグ制」を維持してきた。米政策金利が引き上げられるたびに香港ドルは売り圧力にさらされてきた。
香港金融管理局(HKMA、中央銀行に相当)は米連邦準備理事会(FRB)に追随して利上げをしたり、為替市場に介入したりすることでペッグ制を維持してきた。ただ一部のエコノミストは、足元の利上げサイクルは規模やスピード面で過去最も厳しい試練になっていると指摘。中国経済が鈍化し、利上げに適したタイミングではないことも対応を難しくしている。
長年にわたり香港ドル先安観を維持している米ファンドマネージャー、カイル・バス氏は24日、香港ドルを米ドルに対し売り持ちにするファンドを保有していると明らかにした。
「われわれの主張に賛同する向きが現れたのは喜ばしい。(成長)ペースの異なる経済と結びついた硬直的な通貨ペアは失敗する運命にある」との見方を示した。
預金・通貨の流出に1日でも問題が生じたら「想像を超えるストレス」が生じる恐れがあると指摘した。
香港ドルは5月以降、許容変動幅の上限(安値)近くに張り付いていたが、ここ数週間で市場が米金利のピーク水準を織り込み始めたため、やや上昇した。直近は1米ドル=7.8142香港ドル。
HKMAはペッグ制について、40年近い歴史で幾つもの景気サイクルと資金フローの変動期に耐えたと説明。引き続きうまく機能しているため、変更は必要ないとコメントした。
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