[ロンドン 1日 ロイター] - 大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングは1日、現在「AAプラス」としている香港の格付けについて、米国が香港の金融部門に制裁措置を導入し、成長トレンドが大幅に悪化すれば、引き下げる可能性があるとの見解を示した。
中国全国人民代表大会(全人代)が5月28日に「香港国家安全法」の制定方針を圧倒的賛成多数で採択したことを受け、トランプ米大統領は29日、香港に対する優遇措置を撤廃するよう政権に指示したと明らかにした。
S&Pグローバルのソブリンアナリスト、キム・エン・タン氏は、香港のAAプラス格付けは、一部の「AAA」格付けと同等とも見なされるものの、将来を巡る先行き不透明性が高くなっていると指摘。「金融部門を含むサービス産業全体に米国の措置の影響が及び始めれば、香港に対する経済的な影響は一層深刻になる」とし、「成長トレンドにかなり大きな影響が出るという最悪のケースでは、S&Pグローバルは香港経済に対する評価を一段と引き下げ、香港の格下げにつながる可能性がある」と述べた。
ただ、トランプ大統領が5月29日に示した方針については、香港の対米輸出は全体の0.1%でしかないため、香港経済に大きな影響は及ばないとの見方を示した。
主要3格付け機関のうち、反政府デモの拡大を受け、昨年にかけて香港を格下げしていないのはS&Pグローバルのみ。
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