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日経平均は続落、米CPI前に手仕舞い売り、主役はしばしアフターコロナ


*12:20JST 日経平均は続落、米CPI前に手仕舞い売り、主役はしばしアフターコロナ
 日経平均は続落。95.27円安の28868.29円(出来高概算4億9293万株)で前場の取引を終えている。

 8日の米株式市場でのNYダウは小幅に続落し、30ドル安(−0.08%)となった。米労働省が発表した4月の雇用動態調査では、非農業部門の求人件数が928万6000件と過去最高を更新。労働市場の改善を背景に景気循環株の一角に買いが入った。また、長期金利も1.5%台前半にまで低下したことで、ハイテクの一部も買われ、ナスダック総合指数は0.31%上昇した。一方、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は0.64%の下落となった。ただ、5月米消費者物価指数(CPI)を前に様子見ムードが強く、大勢はもみ合い展開だった。本日の日経平均は62円安でスタートすると、値がさ株を中心に下落するなか、一時は28801.83円と、下げ幅を160円にまで拡大。ただ、その後は下げ渋って、28800円台でのもみ合い展開が続いた。

 個別では、SOX指数の軟化を背景に、レーザーテック
6920が6%安と大幅に続落。証券会社による格下げを受けたダイキン6367が売られたほか、第1四半期決算が出尽くし感に繋がったストリーム3071は、上昇して寄り付いたものの、大きく売りに押された。一方、業績上方修正を材料にクミアイ化4996が急伸。天藤製薬の子会社化を発表したロート製薬4527も大幅に上昇した。そのほか、国内でのワクチン接種進展を好感したアフターコロナ関への物色から、婚礼サービスを手掛けるT&Gニーズ4331やツカダGHD2418、アパレル関連でオンワードHD8016、AOKIHD8214、なども大きく買われている。

 売買代金上位では、レーザーテックのほか、東京エレクトロン
8035、アドバンテスト6857、などの半導体関連のほか、ソニーG6758、任天堂7974、ファーストリテ9983、ダイキン、日本電産6594、信越化4063、エムスリー2413など、値がさ株を中心としたグロース(成長)株も大きく売られている。また、米長期金利の低下を背景に三菱UFJ8306や三井住友8316などの大手銀行株、利益確定の売りが優勢となった日本郵船9101など海運株も軟調。そのほか、リクルートHD6098、NTT9432、ソフトバンク9434、などの内需系も冴えない。一方、ソフトバンクグループ9984、トヨタ7203が小幅ながらプラスとなっているほか、アフターコロナ関連への物色から、JAL9201、ANA9202、JR東海9022、JR東9020、などが堅調。

 セクターでは、海運業、証券・商品先物取引業、保険業、パルプ・紙、電気機器などが下落率上位となっている。一方、不動産業、空運業、鉱業、陸運業、医薬品などが上昇率上位に並んでいる。東証1部の値上がり銘柄は全体の54%、対して値下がり銘柄は40%となっている。

 前場の日経平均は一度も29000円を超えることなく推移し、上値の重さが目立つ展開となっている。今晩の5月米消費者物価指数(CPI)を前に警戒感が強く、様子見ムードが強いなか、手仕舞い売りなども嵩んでいるようだ。先月に、いわゆる「CPIショック」を経験していることから、インフレに対する脅威は既にある程度は織り込んでいるとは思われるが、5月のCPIの伸びは、前月から更に加速することが見込まれており、やや警戒感が強まっているようだ。WTI原油先物が足元で1バレル70ドル台にまで大きく上昇してきていることも、そうした警戒感を助長しているのかもしれない。一方、足元の米長期金利はむしろ低下基調となっている。今回のCPIの結果を受けて、どう反応するかが注目される。

 こうした様子見ムードが強いなかでも、国内でのワクチン接種スピードを好感した動きが引き続き活発だ。本日のセクター別騰落率ランキングでは、上昇率上位に不動産、空運、陸運と、アフターコロナを代表する業種が並んでいる。住友不動産
8830の7%高という上昇ぶりをみると、本日の全体の軟調なムードを一掃してくれそうなくらいだ。大手百貨店の三越伊勢丹3099や高島屋8233なども上値追いの動きとなっており、昨年3月のコロナショック以降の高値を更新し続けている。

 国内でのワクチン接種スピードは、1日当たりの接種回数が約60万回と、政府が目標にする1日100万回に徐々に近づいている。アフターコロナ関連は今まで短期的な物色はあっても、すぐに下落に転じてしまうことが多かったが、今回は5月第4週からと、すでに3週目の半ばに突入しているが、勢いが衰えていない。足元で、ハイテク・グロースから資源関連を中心とした景気循環株まで、総じて冴えないなか、いまや、これまで見向きもされなかったアフターコロナ関連が相場の唯一の主役となっている。FOMCが来週に控えるなか、もうしばらく、アフターコロナが主役の相場展開が続きそうだ。
《AK》

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