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日経平均は小幅安、手掛かり材料難のなかこう着感の強い展開


*12:17JST 日経平均は小幅安、手掛かり材料難のなかこう着感の強い展開
 日経平均は小幅安。5.80円安の27507.33円(出来高概算4億9341万株)で前場の取引を終えている。

 前週末17日の米株式市場のダウ平均は129.84ドル高(+0.39%)と反発。連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派発言を受けた利上げ加速を懸念した売りが続いた。ただ、その後、リッチモンド連銀のバーキン総裁が柔軟な対応として0.25ポイントの利上げに支持を表明したため大幅利上げへの懸念が緩和し、売りの勢いが弱まった。終盤にかけて連休を控えた買い戻しが強まりダウ平均は上昇に転じた。ナスダック総合指数も下げ幅を縮小したが下落、まちまちとなった米株市場を横目に、日経平均は前週末比16.00円安の27497.13円と小幅続落でスタート。下げ幅を縮小した後は前日終値付近でのもみ合い展開が続いている。

 個別では、東エレク
8035やレーザーテック6920、アドバンテ6857などの半導体関連株の一角が軟調に推移。郵船9101や川崎汽船9107などの海運株の一角、三井物産8031や三菱商事8058などの商社株、ソニーG6758やリクルートHD6098、ダブル・スコープ6619などのグロース株の一角も下落した。ほか、来期の業績悪化を見込んで国内証券が投資評価を格下げした日本トムソン6480が大幅に下落、バリューHR6078、トレジャーファクトリー3093、ギフティ4449などが東証プライム市場の値下り率上位に顔を出した。

 一方、NTT
9432やKDDI9433などの通信株、JAL9201やANA9202などの空運株などが堅調に推移。三菱UFJ8306や三井住友8316などの金融株の一角も上昇した。JFEホールディングス5411や神戸製鋼所5406、ルネサス6723、JT2914なども上昇した。そのほか、前期業績上振れ着地や増益ガイダンスが好感された横浜ゴム5101が急騰、佐鳥電機7420、東名4439、グリー3632などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。

 セクターでは鉱業、海運、電気機器が下落率上位となった一方、パルプ・紙、ゴム製品、その他金融業が上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の72%、対して値下がり銘柄は24%となっている。

 本日の日経平均は、米ハイテク株安の流れもあり若干売りが先行する形から始まると、その後はやや下げ幅を広げた。ただ、売り一巡後は下げ幅を縮小する動きが優勢でプラス圏に浮上、その後は前日終値付近でのもみ合い展開となった。なお、20日の米国市場が休場になるため、海外勢のフローも限られるとみられる。

 新興市場もこう着感の強い展開となった。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタートした後、即座に切り返して下げ幅を縮小した。その後、プラス圏に浮上する場面もあったものの、日経平均と同様にこう着感の強い展開が続いている。東証グロース市場の売買代金は前週末にかけて2000億円前後の推移が続いており、個人投資家の物色意欲は旺盛な様子。決算発表が一巡して手掛かり材料難のなか、一部の新興株には引き続き物色が向かっている。前引け時点での東証マザーズ指数は0.13%安、東証グロース市場Core指数は0.24%安。

 今週22日には、1月31日-2月1日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表される。3月に控える次回会合で利上げ幅の再拡大に支持が広がるかどうか、議事要旨で手掛かりが得られる可能性がある。また、24日には、米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数などが発表される。ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査の中央値では、1月PCE価格指数は全体で前月比0.5%上昇と2022年半ば以来の高い伸びが見込まれ、変動の大きい食料品とエネルギーを除くコア指数は同0.4%上昇と予想されているようだ。

 さて、市場予想を大幅に上回った米1月雇用統計に続き、米1月CPIとPPIも市場予想からの上振れが目立ち、インフレ鈍化の一服が強く意識されつつある。1月の米中古車平均価格が上昇に転じており、米国のインフレ率の前倒し指標とされる銅価格も上昇傾向にある。これらの影響が3月14日に発表される2月CPIで反映され、想定以上のCPI加速が確認される可能性があるなか、今後も警戒感がくすぶり株価の上値を抑制しそうだ。また、連銀総裁などのタカ派発言を受けて米10年債利回りが再び4%台乗せに迫っており、期待インフレ率を差し引いた米10年物実質金利の上昇も続いている。

 19日のブルームバーグの記事では、ゴールドマン・サックス・グループのポートフォリオ戦略向け資産配分責任者であるクリスチャン・ミュラーグリスマン氏が「市場は金融当局がより長期にわたって景気抑制的な政策を推進する一方で経済成長が持続するノーランディングのシナリオを想定しているが、当社は全くそう思わない。少し楽観的過ぎる」と述べている。リスク資産について、プットオプション購入や現金をオーバーウエートにするなどのディフェンシブ姿勢を勧めているようで、直近の株式市場の底堅さに警戒するよう指摘している。

 やはり、決算発表が一巡した2月末以降は、警戒感を忘れずに引き続き下落シナリオも想定しておきたいところ。さて、後場の日経平均は、もみ合い展開が続くか。本日の米国市場はプレジデントデーの祝日で休場。手がかり材料に欠ける中、個別材料株中心の物色が継続しそうだ。(山本泰三)
《AK》

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