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「上値フシ」と「悪いとこ取り」の懸念


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28402.64;+577.81TOPIX;1907.22;+28.36


[後場の投資戦略]

 前場の日経平均は一時600円を超える上昇となった。前日の米市場では売りが先行したものの、引けにかけて下げ渋り。時間外取引のNYダウ先物は上昇しており、アジア市場でも香港ハンセン指数などが堅調な出足のため、押し目買い意欲が高まったのだろう。売買代金上位は日経平均への寄与が大きい値がさ株、景気敏感系のバリュー(割安)株ともに買われている。特に市況関連株の上昇が目立つ印象で、インフレ観測は根強いようだ。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまり。新興市場ではマザーズ指数が2%近く上昇しているが、ゴールデンウィークの連休前後からの下げが急ピッチだったため、ひとまず反発していることは安心材料と言える。

 さて、前日の日経平均は寄り付き直後に高値28312.78円を付けると失速し、後場には一時400円を超える下落となった。3月安値水準となる28300円近辺は直近の急落局面で節目意識が働き、いったん下げ渋る動きが見られたため、戻り局面でもネックになるのではという指摘があった。本日はこの28300円水準をクリアしてきたとはいえ、引き続き28500円近辺までは自律反発に期待して押し目買いを入れた投資家の利益確定売りが出やすいかもしれない。

 もう一点、先週末14日の当欄で日経平均の反発は「海外勢の先物買い戻し主導」という推察を述べたが、この日の先物手口を見ると野村證券の日経平均先物の買い越しが大きかった。一方、海外勢は大きく買い越しに傾いた感がなく、17日は先物全体の売買高自体がやや低調だった。ここ数日、日経レバETF
1570純資産総額の増加と日経ダブルイン1357の資産減が顕著となっており、ネット証券売買代金ランキングではこれら商品が積極的に売買されていたことが窺える。急落の起点こそ海外勢の先物売りだったものの、足元の反発は個人投資家の押し目買いや売り持ち解消が主導している可能性がある。

 個人投資家は「安値で買い、高値で売る」という逆張りの傾向が強い。それに日経レバETFの純資産総額は17日時点で3636億円とかなりの高水準に膨らみ、一方の日経ダブルインは2065億円という低水準になっている。マクロ系ファンドなど相場の方向感を決定づけるタイプの海外投資家が様子見を続ける限り、個人投資家の反対売買が上値の重しとなりそうだ。

 個別株も物色の方向感がつかみにくくなるかもしれない。本日は全般押し目買いムードだが、前日はというと景気敏感色の強い市況関連株、それに値がさのグロース(成長)株がともに売られていた。中国では卸売物価が急騰しており、大連商品取引所や上海先物取引所が鉄鉱石・鉄鋼価格の上昇抑制に向けた措置をとると発表。商品市況はここまで上昇ピッチが急だったこともあり、目先調整を予想する向きが多い。市況関連株も以前と比べ積極的に買える状況ではなくなっただろう。

 一方、17日の米10年物ブレークイーブン・インフレ率(期待インフレ率の指標)は2.54%(+0.04pt)と引き続き高水準。4月小売売上高の予想下振れなどで景気回復への期待はやや後退したが、政府・FRBの政策スタンスが変わらない限り「景気刺激効果は過剰」との懸念はくすぶるだろう。労働需給ギャップなどの構造要因が解消されるめどが立ったわけでもない。独アリアンツの首席経済アドバイザーであるモハメド・エラリアン氏、著名投資家のスタン・ドラッケンミラー氏らが相次いでFRBの政策スタンスを批判したが、「債券王」として知られるジェフリー・ガンドラック氏もFRBの「インフレは一過性」という主張に疑問を呈している。

 前日の市況関連株・値がさ株売りは、市場のムード次第で「悪いとこ取り」となり得ることを示している。腰の入った買いが入りづらいのもやむを得ないだろう。(小林大純)
《AK》

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