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やはり注目すべきはCPIでなく…


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28923.30;-35.26TOPIX;1951.36;-5.37


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は前日終値、あるいは節目の29000円を挟んで一進一退の展開となっており、方向感に乏しい。日足チャートを見ると、相変わらず28000円台後半に位置する25日移動平均線と29000円台前半に位置する75日移動平均線の間でのもみ合い。前日の当欄で予想したとおり、米5月CPIは市場参加者の描くシナリオに大きな変更をもたらすものではなかったということだろう。米国でも10年物国債が続伸(利回りは低下)し、NYダウは朝方こそ大きく上昇する場面があったが、終値ではほぼ横ばい。期待インフレ率の指標である米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は反発したが、4日の5月雇用統計発表の前後から一貫して低下していただけに調整の範囲内だろう。

 改めて解説すると、4月の雇用統計では雇用者数の増加が市場予想を大幅に下回り、その後発表された4月CPIが急伸したことで、「労働需給のギャップがインフレにつながる」との見方が広がった。一方、5月の雇用統計でも雇用者数の増加は予想を下回ったが、4月と比べると伸びが加速。5月CPIが予想を多少上振れしたところで「労働需給ギャップが解消されつつあるなら一時的」とみなす素地が整った。前月の「CPIショック」の直後だけに市場では警戒を促す声も多く聞かれたが、5月雇用統計の発表前後からBEIや長期金利が低下基調にあることを考慮すれば、今回の反応は予想できただろう。改めて強調すると、米市場のトレンドは既に「インフレ観測後退」にあるのだ(もっとも筆者もインフレリスクが完全に払しょくされたとまでは思っていない)。

 前日も述べたが、こうした足元の期待インフレ率指標及び金利の低下は、連邦準備理事会(FRB)への「金融緩和継続の催促」とも捉えることができる。結論を先に言ってしまえば、財政拡張的な民主党政権に歩調を合わせるFRBも、足元のCPI上昇に目配りする姿勢を示しつつ金融緩和策を維持するのだろう。もっとも、現在の経済・市場環境下で期待インフレ率指標や金利の大幅な低下は想定しにくく、来週15~16日に予定される連邦公開市場委員会(FOMC)あたりが1つの節目になるかもしれない。

 さて、改めて国内市場に目を向けよう。日本取引所グループが10日発表した6月第1週(5月31日~6月4日、日経平均207円安)の投資部門別売買状況を見ると、外国人投資家は現物株を749億円買い越し、東証株価指数(TOPIX)先物を1502億円売り越し、日経平均先物を615億円買い越ししていた。引き続き海外実需筋がTOPIX先物を買い戻している感は乏しい。米国の期待インフレ率指標や金利の低下は「労働需給ギャップの解消期待」によるものだけでなく、根底に「経済改善のモメンタム(勢い)は既にピークを越えつつある」との見方があり、やはり輸出企業中心で景気敏感色の強い日本株のエクスポージャー(投資残高)を高めようとする海外マクロ系投資家は限られるのだと考えざるを得ない。

 国内ではこれから新型コロナウイルスワクチンの普及が本格化するタイミングだけに、国内勢に「経済改善のベクトルは上向き」とのバイアスがかかるのも無理ないところだが、ワクチン普及で先行し、給付金も手厚かった米国等の市場参加者の目線は既に「その先」を行っていることに注意する必要があるだろう。もちろん、世界経済のエンジン役である米国の動向に日本も無縁ではいられない。また、ワクチン普及体制が整ってきても海外勢の日本株見直し機運が乏しいところを見ると、やはり評価ポイントは別にあると考えざるを得ない。重要イベントが相次いだため度々先延ばしになって恐縮だが、来週こそは東京都議会議員選や衆院解散・総選挙を睨み政治情勢なども観察していきたい。(小林大純)
《AK》

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