[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;28906.75;-384.26TOPIX;1960.69;-15.17
[後場の投資戦略]
注目のFOMCを受けた本日の東京株式市場は軟調な展開を強いられており、日経平均は節目の29000円を割り込み、下げ幅を400円超に広げる場面もあった。ここまでの東証1部売買代金は1兆2000億円弱と日経平均の値幅の割に膨らんでおらず、押し目買いの動きは限られるのだろう。同様に株価指数先物の方でも売買が膨らんでいる感はない。新興市場でもマザーズ指数が続落し、2%超の下落。米長期金利との連動性が一段と高いだけに、売りがかさむのもやむを得ないだろう。
債券サイドではFOMC後のトレンド転換を予想する向きが多かったし、実際に米長期金利はFOMC前から下げ渋りの動きが見られた。また、事前に米ウォール・ストリート・ジャーナルが「早期利上げの可能性を示唆する可能性がある」などと報じていたにも関わらず、株式サイドには「無風通過だろう」などと高を括ったような予想が多かったことには筆者も懸念を抱いていた(一昨日の当欄を参照して頂きたい)。
FOMC通過後にしても、「思ったよりタカ派的だが想定内」などといった何とも捉えがたい所感や、「あく抜けに期待」といった声が多く聞かれる。前者に関しては言わんとしていることが分からなくもない。個別の内容だけ見れば予想を大きく超えたものだったわけでないからだ。しかし、全体としてはより中庸な結果を市場が想定していたことは金利や株価の水準を見ればはっきりしている。あく抜け期待は楽観が過ぎたと思わざるを得ない。
一方、トレーダーらの間では「米連邦準備理事会(FRB)が『平均インフレ目標(長期的に平均2%のインフレ目標達成を目指し、一時的に2%を超えることを容認する政策)』を事実上放棄した」との見方からベア(弱気)目線が多いという。もちろん緩和マネーが行き渡っているなかで資産価格が大きく崩れる可能性は低いだろうが、「上値は期待しづらくなった」と受け止められているようだ。
以前述べたことを再強調するが、トヨタ自の強い値動きに勇気づけられる向きは多いものの、翻せば「買える銘柄は限られる」とも捉えることができる。実際、自動車株のパフォーマンス格差は鮮明だ。当面、こうした動きが続くことも想定しておく必要があるだろう。
さて、国内では政府が沖縄を除く9都道府県で20日にも新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」を解除する案を専門家に諮問したが、日経平均の動きを見る限り日本株を再評価する動きは乏しい。度々当欄で述べているとおり、経済活動の再開が日本株の見直しにつながるという強気派の唱えるシナリオも慎重に精査した方がいいだろう。
15日には内閣不信任決議案が衆院本会議で否決され、9月解散・総選挙の流れが濃厚になった。それに先立ち、東京都議会議員選が来週25日に告示、来月4日に投開票される。現有議席は小池都知事を支持する勢力が都民ファーストの党46人、公明党23人。反対勢力が自民党25人などとなっている(都議会サイトより。会派ベース、4月20日時点。定数127人・現員126人)。もちろん「いち地方選に過ぎない」との見方もあるだろうが、衆院解散・総選挙が控えるだけに、小池旋風が巻き起こった前回から自民党がどこまで巻き返せるかは注目されるだろう。これまでお約束してきたとおり、今後焦点となりそうな政治情勢についても取り上げていきたい。(小林大純)
《AK》
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